今野誠一の“マングローブ的生き方”ブログ

2009.09.22リーダーシップ
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改革時のTOPの条件

政権交代が実現して、早いものでもうすぐ一ヶ月が経とうとしている。

企業経営の世界でもそうだが、TOP交代したばかりの時期はのんびりしていることは許されない。
「お手並み拝見」とばかりに世間の厳しい目にさらされるからだ。

前任者との比較論において、改革を求められる後任者は大変な立場である。

こうした時のTOPに求められる能力は3つであるとボクは思う。

1.一点集中ではなく、全体の課題を網羅的に、俯瞰して、見ていられる能力

2.不利益や痛みが必要な部分には毅然として臨むことができる度胸と忍耐力

3.朝令暮改への批判をものともしない目的志向力


この中でどれが一番重要かというのは難しい問題だが、今の民主党の政権運営を見る限り、一番最後の「朝礼暮改への批判をものともしない目的志向力」であると思う。

この目的志向力というのは、ボクの勝手な造語で、「思考力」の誤字ではないので念のため。
いったん言い出したことや、約束したことにこだわるのではなく、もっと大きな目的の前に、どれだけ平気で朝令暮改や朝礼朝改ができるか?これは強いリーダーにしかできないことである。

ボクが、民主党の政権運営を見ていて危ういと思うのは、選挙時にばら撒いた「マニュフェスト」に縛られ過ぎるということだ。マニュフェストはご承知のとおり、当選後に実行する政策を予め確約(公約)するレポートのことを言うわけだが、どっかの国の真似をしているこの方式をボクはあまりいいとは思わない。

この先予想されるのは、マニュフェストに書いてあることを実現できたかできないか?という観点での、マスコミの点検作業である。半年後、1年後、こぞってマスコミはマニュフェストの実現度を報道し始める。
恐らく民主党もその報道に左右されて、約束を果たそうと躍起となることだろうと思う。
先の選挙でも、自民党政権が選挙時のマニュフェストの達成率がどの程度だった、というレベルの低い振り返りが報道されていたが、マニュフェストの個別の達成率などは、全体として国がよくなったかどうかとは、あまり関係がないのである。
今から予想されるそうした事態に警鐘を鳴らしておかなければならない。

言うまでもないことだが、有権者は民主党のマニュフェストを熟読してその内容の一々を認めて「約束」という意味で投票したわけでもなんでもない。今回の選挙はマニュフェスト選挙ではなく、誰が考えても単なる政権交代選挙である。百歩譲ったとして、有権者が認めたことと言えば、政治主導でリーダーシップのある強力な改革をしてほしいということと、バラまき過ぎのところはあるものの生活者のために真に生きたお金の使い方をしてほしいという2つのことぐらいだろう。政治主導とお金の使い道の改革が鳩山政権の2大テーマだということだ。

選挙時のマニュフェストが、ライバル政党よりも選ばれるものにするために、有権者の耳に聞こえのいい内容のオンパレードになる、誇大広告になることはある程度しょうがないことであり、当選後にそんな誇大広告のパンフレットに照らして、「できている、できていない」と厳密に採点するのは愚の骨頂である。

日本の財務体質は企業で言えば債務超過でとうに破綻しているような状況なのである。まあ、これとて机上の計算の話で、天上から見ている神様が、「ハイ、ご破算で願いましては・・」とゼロからやり直せば誰が誰から借金しているかよくわからないような世界なので、なんとも言えないのだが。

そんな破綻しているような財政状態でできるバラ撒きというものに限界があることは、小学生だって理解できることだろう。子ども手当てにしても高校を無料にするような話にしても、配ったりあった授業料をなしにするには財源がいる。他での無駄遣いをなくすと声高に言うが、どんな費用でも使っている本人は無駄だとは思わず権利だと思っているもので、そうそう一気呵成にいくものではなく、入念なシナリオと時間が必要だろう。
ものによっては、一律ではなく、所得制限だってかけるのが現実的かもしれないのである。

TOPに求められる能力の3つ目に「3.朝令暮改への批判をものともしない目的志向力」と書いた。
ボクが今日一番言いたいことは、鳩山首相のようなもののわかった御仁が、政権を手にして実際に国を切り盛りしなくてはならない今になってまでも、目的をマニフェストの実現に置くような愚を犯さないでもらいたいということだ。

目的はあくまでも、「100年200年の大計から見た時に日本をいい国にする」ということ。
万人にいい顔するようなばら撒き改革ではなく、全体を俯瞰してみて、ここぞ!というところに計画的に予算を投下するというような判断を国家戦略局(最初は室なんですな)とやらがすること。
そのために、本当の改革の絵をマニュフェストをいったん捨てて書き直すこと。

そういう風に考えなければ、マニュフェスト選挙などというものは百害あって一利なしだとボクは思う。
 

ボクの著書です。いい感じに仕上がりました。
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この記事へのコメント
  • 菊入弘行さま ありがとうございます。「現時点でさらに深く詳細に検討してみるという姿勢」→本当にそうです。選挙前のバタバタの中、しかも情報源も限られる中で、現場視察も含めて再度じっくり(かといって迅速に)検討し直しは結果が同じになったとしてもやるべきでしょうね。自民党からの引継ぎや役所からの情報提供などが前向きにされればそんなに時間はかからないと思うんですが、色々事情はあるのでしょうね。

    Posted by 今野 誠一 | 2009/09/30
  • 大筋賛同です!
    たとえば、八ッ場ダムの工事を中止すべきかどうかを正しく判断できる有権者などいなかったわけだし、中止してくれるから投票したという人も比率的には極々わずかなわけで、十分な説明をする前に、約束したからまず約束ありき!という、前原さんの大人気ない態度は興ざめでしたね。
    マニフェストは捨てて欲しくはないけど、現時点でさらに深く詳細に検討してみるという姿勢は必要だと思います。

    Posted by 菊入弘行 | 2009/09/29

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