今野誠一の“マングローブ的生き方”ブログ

2009.09.23日記
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自由市場への疑問

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鳩山首相が月刊『Voice』9月号に寄稿した論文が、ニューヨークタイムスに部分転載されてアメリカで波紋を呼んだと聞いている。

ニューヨークタイムズに転載された要旨は次のとおりだ。(YAHOOニュースより)

(YAHOOニュースでは、実際は各文に通し番号はふられていない)
1.日本は冷戦後、グローバリゼーションと呼ばれるアメリカ主導の市場原理主義に翻弄(ほんろう)され続け、資本主義が原理的に追求されていく中で人間は目的ではなく手段におとしめられて、人間の尊厳は失われた。

2.道義と節度を喪失した金融資本主義、市場原理主義にいかに終止符を打ち国民経済と国民生活を守っていくかがわれわれに突き付けられている課題だ。

3.今回の経済危機は、アメリカ型の自由市場経済が普遍的、理想的な経済秩序を代表しており、すべての国が経済の伝統と規制をグローバル(むしろアメリカの)スタンダードに合わせて修正すべきだとの考え方によってもたらされた。

4.グローバル経済は日本の伝統的経済活動を損傷し地域社会を破壊しており、グローバリズムが進む中で切り捨てられてきた価値に目を向け直すことが政治の責任だ。

5.もう一つの国家目標は、「東アジア共同体」の創設だ。むろん、日米安保条約は日本外交の礎石であり続ける。われわれは同時に、アジアに位置する国家として、地域の経済協力と安全保障の枠組みを築き続けなければならない。

6.金融危機は多くの人々に、アメリカ一国主義の時代の終焉(しゅうえん)を予感させ、ドル基軸通貨体制の永続性への懸念を抱かせた。私も、イラク戦争の失敗と金融危機で、アメリカ主導のグローバリズムの時代が終わって世界が多極化の時代へと移りつつあると感じる。

7.現時点では、支配国家としてアメリカに代わる国も、世界基軸通貨としてのドルに代わる通貨も、一つとしてない。だが、中国が軍事力を拡大しつつ世界の主導的経済国家の一つになることは明らかだ。

8.世界の支配国家としての地位を維持しようと戦うアメリカと、これから世界の支配国になろうと狙う中国との間で、日本はいかにして政治的、経済的独立を維持すべきか。これは日本のみならずアジア中小国の悩みであり、地域統合促進の主たる要因である。


この論文を読んでのボクの感想を5つにまとめて述べてみる。

☆政権を奪取した後のことを、深く考えていなかったのかどうかはわからないが、なるほどこれは波紋を呼ぶだろう表現だ。特に出だしの一文はアメリカを怒らせるに十分な思い切った一文である。5.はまた、中国を恐らく刺激する文章となるだろうし、また8.の文章も3国間の位置関係を実に正確に表しており、ズバリ本音で書かれている。
今野誠一のブログにこのように書かれる分には「ずいぶん思い切った言い切り型で書きましたなあ」で済むが、一国の首相にならんとする人が公の媒体に発表する論文としては、無邪気過ぎるかもしれない。
こうした認識は、笑顔の下に隠して、すっとぼけた外交をしながら着々と準備を進める中国流の狡猾な外交に比べてあまりにも素直であり、鳩山首相jはひょっとして外交下手なのでは?と不安を覚えるのはボクだけではないだろう。

☆読みようによっては、鳩山首相がアメリカ主導の自由主義に疑問を呈して、社会主義への道を歩まんとしているのではないかという誤解も与える危険性がある。最近のとりわけ官僚トップの記者会見の禁止などのコントロールぶりは、よく言えば政府主導であるし、悪く言えば情報コントロールを意識しているとも言える。それらと併せ読むと危うさが感じられる。(もちろん自民党時代も大手報道機関などが思いっきり情報管制されているのであまり変わらないとも言えるが)

☆ともあれ、これほどわかりやすく、しかも論理的に昨今の世界情勢、特にアメリカとそしてアメリカが主導した自由主義社会に遺憾の意を表し、日本の立ち位置をシンプルに表現できる鳩山首相の(彼が自分で書いたかどうかは知らないが)表現力には感心した。

☆世界が転換期にあるんだということを、この鳩山論文を読んで強く感じた。第一に、アメリカの自由主義にまっこうから疑問を呈するようなこうした論文を発表するなどということは10年前には考えられないことだった。

☆冷静に見て、アメリカの自由主義は大きな問題点を抱え、バブルの崩壊以降の日本の財政政策は、小さな波には目をつぶるとして、結果としてうまくいっていたと言っていいのではないか。そう考えると、日本という国はそう捨てたものではなく、これからの鳩山政権の舵取りによっては、世界の中での存在感を独特なものにするチャンスなのではないか。


「友愛」などという意味不明な言葉を多用し、記者会見も分かりやすいとは言えないので心配していたが、現時点においては期待が持てる滑り出しなんじゃないだろうか。

小沢一郎幹事長のこれまでの著作を読むと、彼が意外に(知らない人にとっては意外であろう)理念型の政治家であり、志とビジョンを持っていることがわかる。リーダーシップの発揮の仕方は別問題として。
そして、以前はあまり知らなかったが、鳩山首相は東京工業大学→スタンフォード大学→東工大助手→専修大学助教授という経歴(しかも専攻は経営工学だという)の賜物か、論理的であり雄弁であることがわかり、この二人が上手に役割分担をして亀裂を生じさせずにリーダーシップを発揮し続ける限りは、有望であるように思う。


論文へのコメントということで、あえて硬質な文にしてみたんだけどね。どんなもんだろうか。
せっかく政権交代したんだから、頑張って欲しいんだよね。
問題は「友愛」などの理念に、どう具体性を持たせられるかどうかだ。日中のトップ会談の内容などを読む限りでも、「友愛」がだいぶ浮いていたからなあ。

みんなで応援するべきだと思うんだよね。何かでつまづくとすぐに支持率が落ちるから困ったもんだ。
国民もせっかちだから。少しのことであれこれ言わずに、2年くらいは応援しないと国際的にまずいと思うんだよね。だって、首相が1年交代で国民の4分の1しか支持しないようなトップが外交しても何の力も持たないのは当たり前だと思うんだよね。
小泉首相も一時は、国内での圧倒的支持を力に変えて、国際舞台で強気でやれたわけだしね。

その点、マスコミはアラ探しが過ぎるし、叩くのが早すぎるぜ。


ボクの著書です。いい感じに仕上がりました。
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