今野誠一の“マングローブ的生き方”ブログ

2011.09.08日記
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知ることから始まる。

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【原体験】

 

今日と明日の一泊二日で、某社のリーダー研修のファシリテートを務めているんだ。

 

マングローブは、組織変革のコンサルティング会社なんだけど、組織変革にとって、意識と行動の変革は大切な要素で、幹部や管理職層のトレーニングを中心に、オリジナルの研修プログラムを提供しているんだ。

 

若手社員の意識変革が重要なファクターとなる場合には、スター社員研修のようなプログラムで仕事の基本を根本から見直すようなこともするんだ。

 

今回のプログラムの中に「メンバーマネジメントの第一歩は、メンバーをよく知ることからだ」という趣旨のコーナーを設けた。

 

僕は18歳でリクルートに入社してすぐに、全員年上の大勢のアルバイトの皆さんと仕事をする羽目になり、うまくいかなくてもがいている時、当時の上司が助け舟を出してくれた。

 

「お前はみんなを動かそうとばかり考えている」「うまくやろう、うまくやろうとばかり考えて焦っている」「そうではなくて、みんなのことをよく知ることから始めなさい」

 

そう教えてくださったんだ。

 

そして、リクルートの創業はの江副浩正氏の口癖だという、社会心理学者のエーリッヒ・フロムの言葉を教わったんだ。曰く「愛することは知ることから始まる」。

 

「自分のメンバーを愛せなくては、育てることもできないし、いい仕事もできない」

「そして愛するためには、知ることが第一歩なんだ」

ということだったんだ。

 

それから、色々な部署のリーダーをずっとやってきたので、僕の仕事におけるリーダー暦はなんと35年間ということになる。

 

その間、この「愛することは知ることから始まる」という言葉を座右の銘として、ひたすら「人を知ること」にエネルギーを割いてきたんだ。

 

一番苦労したのは、前職の人事部長時代に、1600名の社員を全員覚えようと努力していた頃だね。1600名全員の、顔と名前はもちろん、入社年次、役職と職級、出身地、出身学校、学部学科を頭に叩き込んだ。

 

そして、年に2回の評価の時期には、全員の評価シートを一言一句熟読して、誰がどのような評価であるかも頭に叩き込むようにした。

 

評価内容については、一度に覚えようとしないで、評価の時期に熟読し、評価会議に出て評価の内容を知るようにして、時間をかけて覚えていったので問題なかったんだけど、何しろ大変だったのは全員のプロフィールを頭に入れること。

 

覚えるためのツールは2つ。

ひとつは、手作りの単語帳ならぬ「社員帳」。表に社員の名前を書いて裏に、入社年次、役職と職級、出身地、出身学校、学部学科を書いて、常時携帯してひたすら覚えた。トイレにまで持ち込んで・・・。3ヶ月か4ヶ月くらいはかかったんじゃないだろうか。

 

もうひとつは、会社が文化として作っていた顔写真入りの社員アルバム。

これに、自分で手書きでプロフィールを書き入れて、これも暇さえあれば見ていたんだ
 
(リクルートコスモスという社名で、社内報の名前が「COSMONAUTS(宇宙飛行士達)」だったんだ) 

IMG_3641.jpg


中はこのように、一人ひとりの顔写真とプロフィール、いくつかの質問へのコメントで人となりも分かるアルバムになっていたんだ。

そこに人事上の情報を手書きで入れたいたってわけだ。
部署だけの表示だったので、肩書きを入れ、入社年次、出身校学部学科、出身地を書き入れた。
下は僕の例なんだけど、「51高G」というのが「昭和51年入社で職級はG職」ということ。

IMG_3640.jpg
 


もちろんね、基本情報を覚えることが目的化しちゃ意味がないんでね。
この基本情報に、職場の仕事ぶりや、研修の時のパフォーマンスや、毎回の評価内容などを加えて、本人の方向性なども人事部なりに考えるということを心がけていたつもりなんだけどね。

当時僕は、人事部長として、役員会での社員の昇進や昇格の検討と決定。そして人事異動の検討と決定をサポートする立場だったんだ。

候補の社員に関して、担当の役員さんがコメントしていくという場面はよくあると思うんだけど、上げたい一心で思い切り誇大広告になっていることは日常茶飯事であるし、役員さんが掴んでいる人事情報には限りがあり、それを裁いていく社長のほうも、たまたま接点を持った時の少ない情報でダメ出しをするようなことになる。誰かが全体像をよく見ていないと、時として頓珍漢な人事が行われていくことになるものなんだよね。

 

どこまでいっても完璧な人事というものはできないわけで、限界はあるんだけど、業績だけで決められていくようなことも避けなくてはいけないし、一人ひとりの社員の可能性を切り開く人事をしていかなくちゃいけない、という決意はあったんだけどね。

 

次第次第に、人事関連の役員会では、社長から「人事部長の意見を聞いてみよう」と言ってもらえる機会が増えてきて、人事に関しては社長といい二人三脚ができたように思っていたんだけどね。

 

ちょっと話が脱線しちゃったんだけど、独立後も社員をよく知るということは、僕の基本姿勢だね。プロフィールは当然のこととして、得意なこと不得意なこと。目指しているもの。将来の夢。そしてプライベートのことまで。

 

逆の立場で考えると、僕が20名くらいの会社の社員だとして、社長が自分のことを何も知っていてくれないとしたら、やはりついていきたいとは思わないし、人間的につきあっていこうとは思わないように思うしね。

 

 

【自分の意見を表明する】

 

さて、今日の研修の中で、この「社員をよく知る」ということに関しての演習をしている際、興味深いやり取りになったんだ。

 

それは、上に書いたように、僕は徹底的に知る姿勢で当たり前のようにやってきたわけで、おかしいと思っていないわけで、思わず自説(リーダーはメンバーのことをよく知る努力をすべきである)にも力が入るわけなんだよね。

 

多くの人は「なるほど」と聞いてくれていたんだけど、こういう意見も出たんだ。

 

「プロ同士が集まって仕事をしているわけで、結果を出すという点において気持ちを共にできればそれでよいのでは」

 

「ビジネスをしに集っているわけで、プライベートなことまで知り合う必要はないのではないか」

 

なるほど。その意見を聞いて僕はうれしくなったんだよ。

 

なぜかって、場の空気が「なるほど」という時に、異説を述べることは勇気のいることだし、何より、揺ぎ無き自分の意見を持ち、表明できることは素晴らしいことだと思うよね。

僕はその点において感心したね。

 

組織人事のことは、複雑系で、唯一無二のシンプルな正解がある世界ではないから、両極の意見が出て議論になることはいいことなんだよ。


【今野誠一のパーソナルライフ:更新情報】 


IMG_3539.jpg
『漢字力白状伝:110908 「錚々」「罹災」「直截」

 

今日取り上げた漢字は「錚々」「罹災」「直截」の3語だよ。

一日3語ずつ、地道に確実にしていくことができれば、漢字博士も夢じゃないかな・・。





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