今野誠一の“マングローブ的生き方”ブログ

2008.10.14経営戦略
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中小・ベンチャー企業が忘れがちなこと

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【ベンチャー・中小企業の元気の支援】

10年間で、恐らく延べ1000社弱のベンチャー・中小の組織力の向上の支援を手がけてきた。

そのことを通して、二つの気持ちが強くなった。

一つは、ベンチャー・中小企業や、そこに働く人の元気の支援は自分にとって、一生のやりがいのある仕事だということ。

そして、二つ目は、大企業が元気を維持するためには、事業部や部門や課を、あたかも「ベンチャー企業や、中小企業」のようなつもりで、組織長が社長のつもりで運営していくことが最良の道だということ。

マングローブのコンサルティングや、教育研修プログラムの強みは、それが自社でのリアルな取り組み経験が元になっているということ。
自分だったらどうしたいか、という思いの集積で出来上がっている。

自分達の体験を、コンサルティングや教育プログラムに構築していく過程で、ベンチャー・中小企業が(の社長が)忘れがちなことにいくつか気がついた。


【ベンチャー・中小企業が忘れがちなこと】

1.社員の見方

業績的にも、社内の組織的な面でも山あり谷あり、波の大きな小さな会社では、社長の精神状態面でも浮き沈みが激しく、余裕が持てなくなってしまう。

社内の人間関係を悪化させていく最もまずい要因は、社長が、社員の今できていること、頑張ってやってくれていることを、当たり前だと思ってしまうことだ。

創業社長は、志を持ち、自分の強みを最大限に生かして世の中の役に立とうと思って会社を設立し創業する。
そんな社長が実務に最も通じていて、事業の隅々までわかっているのは当然のこと。

実務に長けたリーダーほど、メンバーの「できていないこと」「物足りないこと」ばかりに目が行く。
往々にして、メンバーを信じられず、いつまでたっても満足できる状態にならないものだ。

社員の「今できていること」「頑張ってやってくれていること」に目を向け、現状を受け入れ信じることができるかどうかが、ベンチャー企業・中小企業の経営者の壁だ。

もう一つの社員に対する見方で問題になるのは、猜疑心が先にたつ、ということだ。

猜疑心というのは、疑ったり妬んだりする心。

社長に反対意見を言ったような場合に、「こいつは自分に不満を持ち、楯突こうとしているんじゃないか」という気持ちをもってしまう。
外の勉強会に行き、他の社長のいい話を聴いてきて披露でもしようものなら、「自分からでは学べないと思っているのか?」と、嫉妬心を持ってしまう。

将来の個人的な大きな夢を持っていることがわかったりすると、「この会社は単なる踏み台ということか」などと、社員の夢に怒りの感情を持ってしまう。

社長の夢に、社員全員がずっと付き合ってくれることなどありえない。
社員一人ひとりには、それぞれの夢があって当然だ。
社長の夢と、一人ひとりの夢が交差しているところに共通点があるから、この会社にいる。
会社とは、色々な人の「夢の交差点」と思うべきだ。

このまま居続けたほうが自分の夢に近づくと思えば長くいることになるし、自分自身の夢の実現のほうに思いが強くなれば、わが道を行くのは当然のことだと思って、それを前提に経営を考えて行ったほうがよい。

一人ひとりの言動に一喜一憂せずに、それらを全て超越した存在になれるように、自分を磨き、いい会社にすることに集中していかなくてはならない。


2.小さいことのメリット

ベンチャー・中小企業が大企業に伍していくためには、その強みを最大限に生かしていかなくてはならない。
企業ごとにその強みは様々なのだが、共通する最大の強みは実は「小さい」ということそのものなのである。
小さいことを生かすどころか、大企業の真似をして身の程知らずの方向に行ってしまうことで失敗する例が多いのは残念なことだ。

具体的に言えば、ひとつは社長が「社長らしくなろう」とし過ぎること。

無闇に貫禄を出そうとして、現場から距離を置こうとする。現場から離れて、ゴルフや団体活動にうつつを抜かすことを、社長らしい、と勘違いする。現場に口を出さずに任せっきりにすることを社長らしいと勘違いする。社員を信じることと、任せっきりで放置することとは違うのだ。幹部や社員からの「社長は社長らしくデーンと構えていてください」などという言葉でその気になってはいけない。

さらには、大企業の真似をして、ことさらに組織を複雑にすること。
企業のサイズが近いということは、経営が現場に近いということ。経営が現場に近いということは、意思決定が正確にできるということ。意思決定を迅速にできるということ。
その良さをわざわざ捨てるかのように、営業本部を作ってみたり、管理本部を作ってみたり、それらしく経営企画室やマーケティング本部などを作って組織を複雑にしてしまう。

それらのことは、経営と現場の距離を遠くするだけではなく、社内の管理を強化し過ぎることにつながる。管理の強化の行き過ぎは、社員一人ひとりの持ち味や能力の発揮度に影響を与える。

大量販売されている経済誌や、経営の指南本の多くは大企業向けであったり、ベンチャー企業の社長の本でもたまたまうまく行って大企業になった後の成功本であって、そのまま真似をしても成功が保証されるものではないのは当然のことだ。


3.聴く姿勢

自分の強みを生かして、腕一本で挑戦を始めた創業社長に、我の強い人が多いのは当然のことだ。それが良い方に出る場合と、よくない方に出る場合がある。

異業種交流会などに行くと、傾向は歴然である。
大企業の余裕のある経営者は、自分のことを話すことよりも相手の話を聴くことに意識が向く人が多い。しかし、ベンチャー・中小企業の経営者には、自分のことだけ話す人が多い。
これから会社を大きくしていくために、自社の売込みをしなければならない時期で、アウトプットしたい気持ちが強いという事情もあるのは当然だが、インプットよりもアウトプットが多いという傾向を表しているとボクは思う。

社外でもそうだが、社内でもその傾向は強い。
幹部や社員の声を聴くよりも、圧倒的に自分が喋っていることの方が多い。
自分が読んだり聴いたり経験したことを、社員に話したい気持ちが強く、社員が読んだり聴いたり経験したことを聴きたいとはあまり思わない。
社員には社員の世界があり、自分にはない情報の宝庫であることに思いは至らず、情報の方向が一方通行になってしまうことが多い。

アウトプットすることが社長の仕事だというのはその通りだが、アウトプットとインプットのバランスを悪さはなんとか是正しなければ、経営判断を誤ることになる。

採用現場などでも、この傾向が問題になる。
大企業の勤務経験があり、社員採用のための面接などを経験し、訓練を受けている人は別として、そうでない経営者の場合は、決まって自分が話すばかりで面接になっていない例が圧倒的に多いのだ。
入社希望者に話をさせて、色々なことを引き出す意識がなく、第一印象や態度などから好印象を受けると、とたんに入社の説得モードになり、創業の思いから、自社の強み、自分の信念などを朗々と謳い上げる。
かくして社員としてふさわしいかどうかの選別は印象だけになり、採用ミスを繰り返すことになり、定着の悪さの大きな原因にもなってしまっている。


ベンチャー・中小企業が忘れがちなことは、この「社員の見方」「小さいことのメリット」「聴く姿勢」の他にもいくつもあるが、長くなってしまったので、また機会をあらためて・・・。
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