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2009.03.04企業理念
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企業理念のご相談をよくいただくんだけど、これは実に難しい。
相談内容は
・ 社内に浸透していないがどうしたらいいか
・ 企業理念を再設定したいので手伝って欲しい
主にこの二つかな。
何ごともそうだけど、形にならないもの、目に見えないもの、人の中にあるとうようなものは、ことごとく難しい。
でも難しいことこそ大切なことが多く、大切なことほど、易しいことに変えていかないといけないのかなあ、とこのごろ思っている。
【企業理念は絶対必要なのか】
さて、企業理念なんだけど、ゼロベースでまずは考えてみる必要があるんじゃないかな。
判で押したように「経営で最も大切なものは企業理念である」「企業理念を大切にすることがいい会社にしていく最大のポイントだ」という論調で、企業理念を最優先に考えるようにものの本に書いてあったり、企業理念のコンサルティング会社のホームページにも書いてあるんだけどね。
このような言い方では、何がどう大切なのかわかりにくいんだよなあ。
こういうふうに言っている時の「企業理念」というのは、とってつけたような耳ざわりのよい、ホームページに載せるような「文章」のことを言っているわけなんだよね。
こうした「対外的にかっこよく見せるための文章」のことをどうも企業理念だと勘違いしている人が多い。
「新しいコミュニケーション文化の創造を目指す」とか「より多くの人に安心と喜びを提供する」とか「技術を通じて社会に貢献する」とか、上げればきりがないんだけど、どうでもいいような文章の企業理念はそこらじゅうにある。
こんなのわざわざ言うほどのことじゃないもの。対外的にも社員の心にもちっとも響かないよね。
「企業理念がないとまずいよね」って思って、すべて後づけで、色々な会社の例を見ながら、真似っこで無難につくっちゃうから、こういう(ありきたりの、つまらない)企業理念とも言えないようなものになってしまう。
そんなんだったら、まだないほうがいいよね。
・ 対外的に決してプラスイメージにならない(ありきたりで特徴がない)
・ 社員が自社の企業理念に誇りが持てず逆効果
・ 経営者が「浸透しない」ということをずっと悩むようになる
本末転倒だよね。
【理念のない会社はない】
企業理念というものを「外」に向いてばかり考えているから、そういうことになる。
企業理念の制定目的には、外向けの意識と内向けの意識とがある。
外向け ⇒ ホームページや会社案内などに記載して、対外的な取り組み姿勢の宣言とする目的。採用場面などでのアピールのために記載することもこれにあたる。
内向け ⇒ 仕事に従事する社員に対して、経営として大切にしている考え方や、将来の方向性を指し示すものとして掲げる目的。
このように分けて考えると、多くの会社が外向け重視で企業理念を作り、それを無理やり内向けにも「浸透だ」「覚えろ」とやっているようにも見える。
一石二鳥を狙うとだいたい失敗するものかもしれない。
そもそも何を社会に提供し、何を大事にして仕事をするかを考えずに会社を興す人は少ないんじゃないかと思うんだよね。
これを「創業の精神」と言うんだけどね。
これらのことは、実は社長の内にある。頭の中や心の中や、体に染み付いたものであり、それを折に触れて社員に話したり、行動で現したり、書き物に残したりする。
小さな会社ほど、これらのことを間近にいる社長から直接感じ、吸収することになるわけなんだ。
こう考えてくると、小さなうちは、ことさら「企業理念」などと気取った表現にして、せっかくの内容を伝わりにくくしてしまう必要がないことに気がつく。
むしろ、とってつけたような他社のモノマネをしたような文章にしちゃって、元々持っていた素晴らしい創業の精神を忘れちゃうことになる例も多いんだよね。
【創業の精神を受け継ぐ】
【創業の精神を受け継ぐ】
例をいくつか上げてみる。
例えばボクがいたリクルート。
創業から7年間、事業が軌道に乗るまでは企業理念や社訓らしきものは無かったんだ。
あったのは正に創業の精神。創業者の江副浩正氏の創業の精神はズバリ「人のやらないことをやる」の一言だった。
その精神が、広告を集めた雑誌という発想を生み、次々とナンバー1の媒体を創り出す原動力になった。
その創業の精神「人のやらないことをやる」が進化してコピーライトされ「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という素晴らしい社訓につながっていったというわけだ。
ちなみにリクルートの現在の企業理念は
「私たちは常に社会との調和を図りながら
新しい情報価値の創造を通じて
自由で活き活きした人間社会の実現を目指す」
というものです。
これはこれで世の中に存在する意義として重要なんだけど、社員に浸透し考え方に影響を与え、言動を変えていくのはどちらかと言えば「人のやらないことをやる」であり「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」のほうなんだと思う。
もう一つの例として「ソニー」を見てみる。
ソニーの企業理念は「新しい感動、体験、インタラクティブメディア」というものだ。
さてそれでは「創業の精神」はなんだったのか。
昭和21年1月創業者の井深大氏が起草した原稿用紙4枚の「東京通信工業株式会社設立趣意書」はあまりにも有名だ。
・ 自由闊達にして愉快なる理想工場の建設
・ 技術の力で日本再建、文化向上のために活発に活動
・ 不当な儲け主義を廃止、内容の充実と実質的な活動に重点を置きむやみに規模の拡大を追わない
・ 困難でも社会的価値があり、高級技術製品を対象とし、他社の追随を絶対に許さない独自の製品化を行う
その後、コマーシャルのために「It’s a SONY」というコピーが誕生したが、ソニーの創業の精神に根ざした素晴らしいコピーだとボクは思っていた。
ところが、企業理念はと言えば・・・。
「新しい感動、体験、インタラクティブメディア」である。
作った人には申し訳ないけど、ひどいコピーだとボクは思う。
ここでは再現しないが、ホームページに記載されているこの理念の説明文は、どうしたらこんなひどい文章が書けるのか、というくらいにひどい。
ソニーファン(実際パソコンもデジカメもソニー製を使っている)のボクとしては、忸怩たる思いである。
今まで無節操に(あえて無節操と言わせてもらう)拡大してきた事業内容に合わせて、後付で決めた企業理念としか思えない。
ソニーの創業精神は、あくまでも「世の中にないものづくり」であり、「規模は追わないけれども他社の追随を許さない独自の製品」のはずだった。
この創業の精神を忘れた時からソニーの衰退は始まっていたとボクは思う。
音楽を買い、映画を買い、そしてゲームへ金融へ・・・。
そして行き着いた最終企業理念は「インタラクティブ・メディア」であるという。
このように、創業の精神を過去のものとして、企業理念を外向けのもっともらしいものとして作ってしまうと、かえって経営をわけのわからない方向に向けてしまったり、後付の意味のないものにしてしまう、分かりやすい例だとボクは思う。
(ソニーの関係者の皆さん、気を悪くしたらごめんなさい。ソニーのユーザーなので勘弁してください)
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