
『スペシャリストに学ぶ、”おもてなし”の本質』 (中編)
7回目となる経営者対談。今回は、ウエディングプロデュース界の草分け的存在であり、おもてなしのスペシャリスト、オリーブの丘 代表 ひぐちまりさんと、企業価値を高めるサービスブランディングを手掛ける、株式会社ヒューマネクスト 代表取締役 浜本亜実さんをお迎えし、「おもてなし」をテーマに語っていただきました。
みなさんは、“おもてなし”についてどのようなお考えをお持ちですか?“おもてなし”に正解はありませんが、今回の対談を通じて数々のキーワードが飛び出しました。そのキーワードを意識することで、自己流の“おもてなし”により深みが増すのではないでしょうか?
る人を増やしていく」ことをテーマのひとつにするということなんです。
開花させるか」、「人の価値をどうやって引き出すか」をテーマに実験
を行いました。人間は何かに挑戦しようとしたときに、必ずそれを阻む
既成概念のような思い込みが一人一人にあるそうで、これを『メンタル
モデル』といいます。
バックグラウンドも年齢も異なる人々が参加していたのですが、なんと
その全体の95%があるひとつのメンタルモデルを持っていることが
判明したのです。
何もしなければ、価値がない」という意識なんです。例えば、経営者の
方であれば、自分が社員から慕われているのは経営者であるからだ
とか、主婦の方であれば子どもが自分を好きでいてくれるのは毎日
ご飯を作ってくれるからだなど自分の在りのままが愛されているので
はなく、状況や結果、持っているものが好まれているからだと意識下
で思ってしまっている思い込みが、自分自身に対する評価を下げてし
まい、何かに挑戦する第一歩を躊躇させてしまうのだということです。
話を戻しますが、“おもてなし”というのは、お客様に対して何をするか
ということよりも、どんな気持ちで接するかが大切です。スタッフ一人
ひとりが【自分の発した言葉がどれだけの影響を与えるのか】【自分の
笑顔がお客様をどんなに幸せにすることができるのか】【自分は何の
ためにこの場にいるのか】というようなことを考えながら常に自己重要
感を持って過ごすことで、本当の意味での“おもてなし”を届けることが
できると思っています。
聞くことで、自己重要感を感じてもらうことができる。また、そうした
プロセスを経てできたクレドだからこそ、魂が吹き込まれるのだと信じ
ています。

に生きていける世の中だったと思うんですね。それはコミュニティという
ものが機能していましたから。地域とか、会社とか、一人ひとりが何か
大きなコミュニティに属していましたよね。昔は自分に価値があるかどう
か、価値は何かなんて考えなくても、コミュニティの一部として存在で
きていたけれど、今は何か理由や価値付けが求められる風潮じゃない
かと思うんです。皆が何者かでありたい、あろうとしているというか。
へのアンケートで、自己重要感について示しているんじゃないかなと
いうものがありまして。
テーマが「自分が持っている要望」で、回答者の89%は『自分はOLの
ままじゃない』、71%が『自分らしくいきたい』という結果。『一般女性
とはまさに私のことである』という項目に対して、どれくらいの女性が
「はい」と答えたと思いますか?
ということは、多くの女性は自分は“一般”ではなく、特別な何者かで
ありたいと思っているということですよね。
を感じていらっしゃらないことは悲しいですね。自分自身のほんの
一言・笑顔・挨拶ひとつひとつの行動が、どれだけの人を幸せにする
ことができるかということに気がつけば、自己重要感が増していくよう
におもいます。
てなしの基本は、在りのままの自分が相手に影響を与えられる存在だ
ということをまずは認めることなのかな。
必ずあります。うちの会社には、この春から入社したスタッフが4名
おりますが、全員ブライダル業界での経験がありません。彼らに、私が
よく言うのは、「ブライダルの仕事を習得するには年月が必要だけれ
ど、人をもてなすことは今日からでもできる」ということ。電話を取る際
には出来るだけ明るい声で出るとか、必ず笑顔でお客様を出迎える
とか、挨拶を丁寧にするとか、どんなに些細なことでもいいんです。
「とにかく自分の得意を発揮して、人に必要とされる、役に立つ人に
なってね」と伝えています。

いただきます(笑)。今日はまりさんから色んなお話を聞かせていただ
いて、自分の中でモヤモヤしていた部分の霧がスーッと晴れました。
浜本社長が“おもてなし”を一言で表現すると?
ではないかと思っています。
人が行動する時の動機は二つあり、「なにかを回避するため」という
不安からくる動機と「何かをしたい・してあげたい」という思いやりや愛
からくる動機です。これは、行動自体には差が生じなくても、行動をす
る本人の気持ちが全く異なります。たとえば、オフィスが散らかってい
て掃除をしようと思う時、「上司にまた叱られるからその前にやってお
こう」と思って行う人と「みんなが帰ってきた時に気持ちよく働いてもら
えるようにやっておきたい」と思って行動する人では、同じ掃除時間で
も圧倒的に後者の方が幸せを感じている時間が長い。この幸せに思う
時間が長い人からは、行動以上にその存在からエネルギーや温かさ
を感じるように思います。
味のないことかもしれませんね。
であるように感じます。相手に心地よく思ってもらう空間をつくりたいと
いう思いがベースにあり、そのうえでその手段であるマナーなどの手
法を学ぶことには大いに意義があると思っております。人は知識や
振る舞いというもの以上に、その先にある想いやそれに対する姿勢に
心を揺さぶられるような気がしています。
フ教育部門の責任者の方の講演を聞きにいったことがあるんです。
リッツカールトンと言えば、おもてなしの最高峰。講演のなかで、『サー
ビスとホスピタリティの違い』について触れていて、心に残ったことが
あります。
ですか?」と尋ねられたら、スタッフの方はその場所までお連れするこ
とが正しいとされていたんだそうです。ところが、現在はもし同様のこと
を尋ねられたら、その場所まで案内した方が良いか、あるいはその
場所への行き方だけを説明すれば良いかの判断は、そのスタッフに
任されているというのです。
は1対1のものである。そこには従属の関係はなく、対等である。つま
り、リッツカールトンのスタッフが提供するのはサービスではなく、ホス
ピタリティであるということなんですね。
生き方であり、マメジメントも生き方、教育も生き方なのかなあと。
すべてが生き方なんじゃないかとおぼろげに感じたりしました。
すべて出ますから。
がよくおっしゃっている“自然体”、ナチュラルでいることが素晴らしい
とこの頃思うようになりました。
の婚礼トレンドのキーワードを教えてください」とよく聞かれるんです。
今野さんの著書からヒントを得て、「2009年はナチュラル婚の時代」
と答えているんです!
私たちも初体験となる、幼稚園で結婚式を行ったんです。会場となっ
た幼稚園は、ご新婦のご実家が経営しているところで、現在は彼女も
そこの教諭でもあります。今でこそ大規模な幼稚園ですが、彼女が
幼い頃はまだ規模も小さく、幼稚園施設のなかに住居があったそうな
んですよ。だから、彼女は幼稚園の中で育ったというか。
いえる幼稚園で、ご家族の方や親族の方、大切なご友人の方々に見
守られながら、感謝の気持ちをもって新しいスタートを切りたいという
強い気持ちがありました。様々なかたちの結婚式がありますが、自分
の育った環境で人をもてなす、というのが彼女にとってナチュラルなこ
とだったんですね。
の結婚式は初めてな上に、ゲストは100名を超える予定でしたから、
それはそれは入念な準備が必要でした。
園長先生でもある新婦のお父様だったと思います。娘の気持を嬉しく
思い、大切にしたいと思いつつ、来て下さる方々にきちんとしたおもて
なしができるかどうかと。ご新郎様への配慮もあるでしょうし、その気持
ちは痛いほど理解できました。
土のグラウンドに人工芝を敷いて、そこにテーブルやケータリングを
配置しようと計画。そして会場をたくさんのバルーンで装飾し、華やか
で温かみのある雰囲気に演出。新郎、新婦の控え室やご家族・御親戚
の方々の控え室、幼稚園の卒業生による余興もあると聞いていたの
で、待機場所を考えたり。複数のグルーブの子どもたちが余興をすると
なれば、仮に子ども40名いれば保護者も最低40名は付添ってこられ
ることを考えると、それだけで80名にはなりますから、常に気が張って
いました。やり直しがきかないことですから、何度も何度も頭の中で
シミュレーションしました。
いました。幼稚園の先生方からは『わ~、素敵。ディズニーランドみた
い』と言う声もあがるほどで。新婦のお父様も、感動のあまり目を濡ら
されていました。最後のご挨拶で『満足のいく結婚式ができました』と
おっしゃっているのを聞いて、スタッフ全員がどんなに喜んだことか。
らしい究極のかたちの結婚式だったと思っています。他人からの評価
の為ではなく、自分たちの伝えたい方法で伝えたいことを伝える。
やはり自然であるからこそ、そこにいる人たちの心にも伝わるのでは
ないでしょうか。お手伝いさせていただいた私も非常に感動して、涙を
隠せませんでした。こういうことがあると、この仕事やっていて良かった
なあと改めて心から思います。
経営者略歴
オリーブの丘 代表
ひぐち まり氏 (Mari Higuchi)
外資系銀行・建築企画会社を経て1988年より、ブライダルに携わる。
1987年にはジミー・カーター第39代アメリカ合衆国大統領を迎えたプライベートレセプションを担当した経験もあるおもてなしのスペシャリスト。
現在はウエディングプロデュース界の草分け“オリーブの丘”代表。 新郎・新婦の立ち居振る舞いレッスンや、人間力アップに重点をおいたプランナー養成講座は、ランクアップを求める人たちに人気。
他にも結婚式場・ホテルのコンサルティング、セミナー講師、パーティ文化を広めるためにパーティ開催など幅広く活躍。
日本ブライダルプロトコール協会の代表、日本プロトコール&マナーズ協会理事、エコールドプロトコールモナコ アドヴァイザーも務めている。
株式会社ヒューマネクスト 代表取締役
浜本 亜実氏 (Ami Hamamoto)
シャネル(株)で長年培った美容知識を活かし、化粧品、ジュエリーブランドのPRにも携る。
その後、六本木ヒルズ(複合施設)の立ち上げに参画し、ヒルズ内で働くスタッフ数千名の研修にはじまる街全体のCS事業や会員制クラブの運営事業を担当する。
2005年独立。株式会社HUMANEXT設立。教育コンサルティング・サービスプロデュース事業を展開。
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