- HOME
- 語る 経営者インタビュー
- Interview No.113

2009.10.22 UPInterview Vol.113
100年後、1000年後も必要とされる仕事をしたい (前編)
植木屋事業を展開する、株式会社oh庭ya(おにわや)の増島靖史社長のインタビューをお届けします。
サービス業としては当たり前の明朗会計やお客様の視点に立った徹底したサービスの提案することで、これまでの業界イメージを大きく変えて行こうと日々チャレンジされています。
- 前編
- 後編
これまで100名以上の経営者にインタビューさせていただきましたが、植木・造園業界の方にお話を伺うのは初めてです。植木・造園業というと、個人経営で、その道何十年のベテラン職人が地域のお得意先を定期的に訪問し、伝統と技を駆使して庭の木や花々を手入れするという印象があります。
ですから、御社のホームページを拝見した時にはかなり驚きました。サービスの流れや内容、価格も明記され、施工事例集も最高ですね。我が家のベランダに空中庭園を造っているので、参考にさせて頂こうとつい見入ってしまいました。現場を手掛けたスタッフの方もコメントも実に素晴らしい。気持ちを込めて仕事をされている様子がこちらに伝わってきます。
そこまで言っていただけると嬉しいですね、ありがとうございます。事例集やスタッフの声を載せているのも、すべてはお客様に対して“見える化”するためです。明確な料金設定、作業工程やアフターフォロー内容、そして働くスタッフの顔と声。この業界に最も欠けていた部分です。
今野さんが持たれていたこの業界のイメージですが、同じように思われている人が未だに大勢いると思います。事前に電話で問い合わせると「現場に行ってみないと費用やかかる日数はわからない」と言われることや、挨拶やマナーも決して良いとは言えない、腕は確かだけど職人気質な庭師が当たり前のような、サービス業であるという意識からは程遠い業界でした。
増島社長は面白い業界に目をつけられましたね。
植木・造園業は、江戸時代から何百年と続く歴史ある業界で、これからも木や花々が世の中から無くなることはない、極めて永続性の高い業界なんです。300年後だって、1000年後だって存在している。だからこそ、oh庭yaという企業を1000年持続する企業に成長、発展させていきたいと真剣に考えているんです。
世間からの評判はあまり良くなく、誰も変えようとしてこなかった業界であるからこそ、非常にやりがいを感じますね。

いいですねえ、ロマンを感じます。
今野さん、正直に言ってくださいね。でも、この事業はあまりお金の匂いがしないでしょう?(笑)
失礼ながら、あまり儲かりそうなイメージはないかもしれませんね(笑)。
そうですよね(笑)。金儲けを第一に考えるなら、別な事業を手掛けたほうが良いのかもしれません。簡単に稼げる商売なんて、きっと他にたくさんあるでしょうから。でも、私はお金儲けよりも、「1000年続く企業に成長させること」「業界でトップになること」そして「存在感のある仕事をすること」にこそ働く価値があるんじゃないと思うのです。
「存在感のある仕事」についてもう少し詳しく聞かせていただけますか?
極端な考え方かもしれませんが、世の中から無くなったら困るんだというくらいの仕事、事業を手掛けたいということです。20歳の時に起業し、様々な事業を展開、経営における成功と失敗の数々を経験してきました。自分がいくら一生懸命になっていても、結果失敗して事業がなくなっても人や社会は困らないという現実に直面したときに考えたんです。自分にとって起業するということはどういうことなのかと。徹底的にお金儲けだけに徹するのか、それとも存在感のある仕事を生み出していくのか。どちらかに軸足を置いて徹底的にやらないと意義を見出せないと思ったんです。
そしてその結果、後者を選んだというわけですね。
人から頼られる、当てにされる、「あなたのおかげです」と人から言われるようなものでないと、仕事の本当の面白さや奥深さを感じることはできないだろうという結論に至りました。例えば、「oh庭yaがあるおかげで」とか「oh庭yaのスタッフが来てくれるおかげで」とお客様から言い続けていただける仕事こそが、仕事の王道じゃないかなと。
そもそも、剪定や草刈りだってサービス業であるはずです。理由は単純明快、お客様からお金を頂戴する仕事だからです。お客様が知りたいだろうことを明確にし、それを可視化するのは当然のこと。その点をまずは徹底して行い、お客様に我々の考え方を知っていただくことに努め、ニーズに丁寧に対応させていただくことが仕事の醍醐味ですよね。
いやはや、まだ少ししかお話を伺っていませんが、思いの強さが伝わってきますね。そういった社長のポリシーやマインド、夢などを社内に頻繁に発信されているんですか?
目標を達成するための具体策は語るけれど、社員の前で夢を語ったりすることはないかもしれませんね。社員へ発信するという意味では、ブログが最大ツールになっています。ほぼ毎日更新しています。

社員の方に対して、社長を“見える化”するってことですね。
ブログというのは、日々何を考えて、僕がどんな動きをしているかを伝えるのに恰好のツールですよね。
支店が各地にありますから、全社員と毎日会うことや会話をすることは不可能ですよね。ブログを通じて、自分の日頃の行動だけではなく、日々何を考えながら仕事と向き合っているかなんてことを伝えられればいいかなと。
なるほど。読者のターゲットは社員の方ですか。ほぼ毎日更新されていますよね。私もブログは毎日更新でやっていこうと決めて今まで続けていますが、毎日更新が逆にプレッシャーになることはありませんか?
ブログをスタートした頃は、毎日続けられるか不安はありました。でも、難しいことを考えずに、思っていることをただ書いていけばいいのかなと思うようになりました。本質的には同じことを、書き方を変えながら繰り返し伝えていく。受け取り方は人それぞれ違っていいと思いますし、何かのヒントになればと思うこともあります。
なぜ徹底して伝え続けようとしているかというと、お客様に対して質の高い仕事をし続ける上で必要なのは、高度なビジネススキルではなく、ヒューマンスキルだと考えているからです。ビジネスマンとして優秀かそうでないかが分かれるのは、最終的にヒューマンスキルがあるかどうか。ビジネススキルが身についていても、ヒューマンスキルが欠如していては、お客様に満足していただける、心から喜んでいただける仕事ができるはずがない。質の高さを求めるのなら、ヒューマンスキルの土台をしっかりと構築し、その上にビジネススキルと経験を重ねていくべきだ、と私は考えています。そうすることで、ビジネスマンとしてだけではなく、組織として強くなっていくんじゃないでしょうか。
なるほど。
最近巷でよく聞くのが、“褒める”マネジメント法です。人の良い部分を探し、そこを伸ばすのが良いとのことですが、私自身はその考え方にはちょっと反対なんです。もちろん長所をさらに伸ばすことも大切でしょうけれど、同時に弱い部分にもフォーカスし、克服していけるような努力や働きかけもしていかなければ、と。良い部分だけ褒められては、ただ木に登るだけだと思うのですが。
それは私も同感ですね。“褒めて”育てるはずが 、結果的に“おだてて”育てるになってしまう傾向がある気もしますね。
偉そうなこと言っていますが、私自身もずっと勘違いして生きてきました。自分を客観的に見ようとせず、常に自分は正しい、だから人の意見など聞く必要ないんだと本気で思っている勘違い野郎でした(笑)。
でも、失敗経験を重ねるごとに、自分を客観的に見ていない、かつ常に正しいと信じているところこそが究極の弱点だということに気付いていったわけです。自分の弱点を知り克服できないのであれば、結局自分の真の良いところを出せないし、中途半端な人間にしかなれないなと。中途半端のままでは、存在感のある仕事なんか絶対にできるはずがない。
だから、社員には失敗経験もどんどん積んでほしいと思います。失敗から得るものが何よりも優りますから。そして、自分の弱点をしっかり認められるようになってほしい。
今私がこうしていられるのも、弱い部分を素直に認め、克服しなければいけないということに気付けたから、自分の姿と向き合うことができたからだと思うんです。
誰しも、自分の弱みを認めるって嫌なことではありますよね。
そう思いますよ。できれば見ないでいたいというのが本音じゃないでしょうかね。ものすごく嫌なことですが、弱点を認めることから始めないことには、克服しようもないですよね。
例えば、オリンピックのメダリストになる過程では、コーチから褒められることはないんじゃないかな。一流と言われる人たちは、血の涙や汗が出るほどの練習を重ね、それでもなお「ここが駄目だ!こんなんじゃ、メダルが獲れるはずがない!」と言われ続け、弱点の克服だけに集中する。一流になる、成功するっていうのはそういうことなんですよね。
全くその通りだと思いますね。叱るというのは、褒めるよりも数段難易度が高いし、エネルギーもいる。上手に叱れなかったりすると、相手を潰すことにもなりかねない。部下を上手く叱れないからという理由で、今度は褒めるマネジメントに転換してしまう傾向がありますね。
褒めるマネジメントは簡単で、当たり障りがないですからね。相手を不快にさせることもないですし。今の時代に合ったマネジメント手法なのかもしれませんが、人間の本質は変わらないもの。そう考えたら、本質を置き去りして、時代を理由に人の表面ばかりを見て育てたって、人も組織も成長することはないでしょうね。
だからこそ、ブログを通じて表現を変えながら大切なことを伝え続けていきたい。社員からは「また社長同じこと書いてるよ」と思われるかもしれませんが。繰り返し、何度も何度も、に意味があるんです。
だからこそ、ブログを通じて表現を変えながら大切なことを伝え続けていきたい。社員からは「また社長同じこと書いてるよ」と思われるかもしれませんが。繰り返し、何度も何度も、に意味があるんです。
そうすると、ヒューマンスキルと経験、そして弱点の克服、この3つが増島社長流教育方針ということですね。
そういうことですね。この3つをまず徹底的に身につければ、人としてビジネスマンとしてもきちんと生きていけるはずだと思います。社員はみな一生懸命になって、お客様にどうやったら喜んでもらえるかを考えながら日々挑戦していて、そんな姿を見ていると、絶対に勝たせてあげたい気持ちがこみ上げてくるんです。絶対に業界トップの企業になり、存在感のある企業に発展させなげればと。

ところで、現在80名ほどいらっしゃる社員の方をどのようにして集めたのですか?皆さん、庭師経験者ってことなのでしょうか。
中途採用で、ほぼ全員未経験者です。この事業を創業した当初から、いかに異色の人材を集めるかが課題でした。ある時期、人材募集の広告には「経験者お断り」と出したこともあったくらいです(笑)。
多様な人材を集めた上でチームを構成することこそ、最高で最強のチームとなり、この業界で新しい道を切り開いていく唯一の手段であると信じていました。
長年知り合いだった副社長の本山はエイベックスの出身ですし、私の出発点は中古車販売業ですからね(笑)。
それは実に興味深いですね。
植木・造園業界は、実は新規参入がほとんどないんです。あるのは新規開業くらいで、●●造園で5年働いて独立するというケースが多いんです。全くの素人が新規に参入したケースはゼロ。だからこそ、やるからには徹底的に異色なプロ集団を構築しないと戦えないと思っていました。異色なプロ集団=最高のチームであるという考え方ですね。
業界を変えていくということは、それくらいインパクトがないと難しいということなのかもしれないですね。
先ほども言いましたが、この事業は“超”が付くほどアナログビジネスです。普通に考えたら、儲からない(笑)。でも、私は面白さを追求し続けていきたいし、1000年永続する企業を本気で作りたい。そう思ったら、風変わりな人材を集結させ、これまでの枠に捉われない新発想で挑戦していくしかないですし、そこにこそ価値があるんだと思うのです。
様々な経歴を持つ人材が集まると新しい発想が生まれる利点もありますが、一方で企業の価値観や文化が浸透するまでに時間が必要になりそうですね。
会社は遊びにくる場所ではなく、気の合う仲間を作る場でもありませんよね。やはり様々な経験をした10通りの人間が集まることにこそ意味があると思っています。
もちろん、中途採用の難しさはありますね。全く価値観の違う環境にいたわけですから。それは我々だけではなく、どの企業にもきっと当てはまるはずです。新しく入社した方によく言うのは「転職するなんてことを簡単に考えるな」ということです。転職理由は様々ですが、一番良くないのは人のせいにする姿勢。例えば、上司が●●だったからとか、会社が●●だからと。他人のせいにする人間こそ、自分の弱さに向き合っていない証拠です。自分を正当化することばかりでね。
結局そういう人は同じ理由でまた会社を去っていくんですよ。人を採用するって簡単なことじゃないですよね。我々だって何度か面談して、一緒に働きたいと思った人を採用するわけですから、正直言うと辞めてほしくない。だからこそ、弱さを指摘することを恐れず、まずは気付くきっかけづくりができればと考えています。
なるほど。弱さを認めさせ、克服する環境を与えるということですね。社員一人ひとりが弱点を克服していけば、それこそ最強の集団になりますね。
経営者略歴
株式会社oh庭ya 代表取締役社長兼CEO
増島靖史氏 (Yasushi Masujima)
1969年11月 静岡県生まれ
2000月4月 oh庭ya創業
2004月3月 株式会社oh庭ya設立
Company Data
| 社名 | 株式会社oh庭ya |
|---|---|
| 所在地 | 【東京本社】 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-21-6 TEL:03-5456-0028 FAX:03-5458-1028 【名古屋本社】 〒463-0025 愛知県名古屋市守山区元郷1丁目205 |
| 代表者 | 代表取締役社長 兼 CEO 増島靖史 |
| 設立 | 2004年3月16日 (2000年4月創業) |
| 業務内容 | 庭のメンテナンス・管理・各作業 鉢花アレンジ、花壇等ガーデニングプロデュース 装飾(枕木アート・クリスマスイルミネーションetc) 庭木の販売 庭の施工・リフォーム |
| URL | http://www.oh28ya.com |
今野誠一のブログ- 限界って・・・・
経営者インタビュー-
100年後、1000年後も必要とされる仕事をしたい
株式会社oh庭ya
代表取締役社長兼CEO 増島靖史 氏
経営者対談- 経営者に聞く!事業継承の真髄とは? 水島達也 社長 × 関田勝次 社長
イベント・セミナー-
理念を浸透させる 和み流 経営術~衣食住の分野において 売り上げナンバーワンではなく、顧客満足度ナンバーワンになるために~
株式会社和み
代表取締役社長 作山若子 氏
今野誠一のパーソナルライフ- 第7回 3月7日~3月13日の漢字[漢字力]







