語る 経営者インタビュー

2011.01.30 UPInterview Vol.117

マテックス株式会社 代表取締役社長 松本浩志氏

伝統を受け継ぎ「本業=CSR」を追求する若手社長! (前編)

今回は、マテックス株式会社 代表取締役社長 松本浩志氏のインタビューをお届けします。マテックス株式会社は、建築用板ガラス、住宅サッシ、ビルサッシ、樹脂製品、住宅設備器機等の卸販売企業です。松本氏は社長就任2年目ではありますが、創業以来の歴史や先代・先輩社員の方々が築き上げてきたものをしっかりと受け継ぎ、「エコ窓」という高断熱の真空ガラスや防犯ガラス等の高機能ガラスで社会貢献へも取り組まれています。そして、会社経営するにあたり、誰よりも企業理念や行動指針を大切にされており、そのベースには社員、さらにはOB社員に対する思い入れがあります。今回は、「エコ窓」を通じての社会貢献や企業理念等に対する思いを熱く語って頂きました。

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松本社長、明けましておめでとうございます。新春対談ということで、めでたい気分の中でお話できて何よりです。2010年は松本社長にとっては、社長就任2年目。色々と前進できた充実した年だったんじゃないですか?

今野社長、明けましておめでとうございます。今回はインタビューの機会をいただいてありがとうございます。今日はよろしくお願いします。今野社長から今2010年について話がありましたが、欲張ればきりがないのですが自分なりに精一杯できるだけのことをやった1年ではありましたね。ただ、社長2年目というような気負いはなかったですね。2007年から取り組んできた、企業理念の明文化が整いまして、それを忠実に守っていくためには何をしていけばいいのか?それが最も念頭にあったことですね。

■CSR大賞の特別賞の受賞(社会貢献)

最初から、そんな結論めいたことを言われてしまうと、インタビュー終わっちゃいますよ(笑)。企業理念については、何しろ80年受け継いできたものを明文化した力作ということで、お聞きするのを非常に楽しみにしていたんですよ。その点はまたおいおい聞かせていただくとしまして、昨年のトピックと言えば、何と言っても「CSR大賞の特別賞の受賞だったんじゃないですか?ノミネートされていた錚々たる大企業の名前を見ますと、この受賞がいかに快挙かがわかります。

日本財団が運営する賞でしてね。昨年で第4回を迎える賞なんですが「市民が選ぶCSR大賞」とも呼ばれているんですね。たくさんの方に投票していただいたお陰で特別賞をいただきました。

マテックスさんがノミネートされているということを聞いて、私も一票入れさせてもらいましたよ。私がマテックスさんの取組みを見ていて思うのは、本業自体の社会貢献度を上げようという意欲が強烈にあるということですよね。CSRというととかく、本業は置いておいて、寄付行為や色々な活動団体の支援などに注力して、それを自社のイメージアップのためにアピールするというパターンですもんね。企業理念のことは後でと自分で言っておいてなんですが、企業理念、マテックスさんでは経営方針と呼んでおられるんですね。その一つ目に「窓を通じて社会に貢献する~暮らしに不可欠な窓の可能性・高付加価値化を追求する~」とあります。窓の社会貢献度にこだわっておられるようですね。

今野社長、貴重な一票をありがとうございました(笑)。そして私達のCSRの取組みについて、非常にありがたい見方をしてくださっていると思います。おっしゃるようにCSRというものが、本業の儲けを使ってプラスアルファの社会貢献をしていくことで、企業の魅力向上を図ろうという考え方が一般的になっていたと思います。株式会社ソーシャルプランニングの竹井義昭氏は「本業とCSRの統合」という言い方をされていましたが、まずは本業での社会貢献度というものを高めていくことは、これはもうCSRの取組みの基本中の基本なんだろうと思います。
 

マテックス株式会社 代表取締役社長 松本浩志氏
 

企業理念(マテックス社では経営方針)は、企業運営の中で大切にしなくてはいけない、未来に渡って変わらずに追求していくべきものが表現されていると思うのですが、その中に「窓」という、いわゆる商品を盛り込んでいるのは相当な覚悟が必要ですね。これはマテックスは未来永劫「窓」に取り組んでいくんだという宣言ととらえていいんですか?

思い切って入れてしまいました。私が会社を継承することになり、根本から一度考えてみようと思いました。「自分達マテックスはなぜ存在するのか?その目的は何か?これからどうありたいのか?」ひたすら考え抜きました。考え抜く中で「窓」というものの魅力を自分自身で再確認したということが大きいんですよね。手前味噌ですが「窓」に惚れ直したと言ってもいいくらいに、自分達にはやはり「窓」しかないと思えたんですよね。

いやはや、そこまで言い切られると清々しい気持ちになりますね(笑)。松本社長に初めてお会いした時に見せてくださったパンフレットのコピーに痺れたことを思い出します。確か「窓には、物語が映る」でした。これはとても秀逸なコピーだと思いました。窓は家の中と外界の接点でもあるし、家族の営々とした生活の物語をずっと見てきたスポットライトのような存在でもあっただろう。家の中から見れば外界の季節の移り変わりや、人々の存在やその暮らしを見ることもできる。窓には自分の物語も、家族の物語も、社会の人たちの物語も、季節という自然界の物語もすべて映っている。とてもイメージが膨らみ、素敵な存在に思えました。そんな素敵な存在の窓に80年間変わらずに取り組んで来られて、その上この先何百年とそれを続けていくことを宣言されている。そのシンプルさに嫉妬さえしましたね。

今野社長、大げさですよ(笑)。でも、そこまで言っていただくと非常にうれしいですね。正直そこまで考えたコピーではなかったとは思うんですけど・・(笑)。真面目な話ですが、私が感じているのは、我々の主要商材である「窓」というものの、社会貢献ということへのポテンシャルの高さなんですよね。言うまでもないことですが人が暮らすために家を作る時に、窓のない家を作ることはよっぽどの変わり者で無い限り、まずありえません。採光も必要ですし、風を取り入れたり、空気の入れ替えが必要な時もありますし、景色を楽しむ額縁の役目も必要なわけですから。しかし、これまでの家の業界の状況としては、断熱や遮音や、健康にいい悪いといった観点での素材へのこだわりなど、壁や床や天井など窓以外の部分の建材やデザインへの注目がほとんどだったんですね。「窓」は取り残されていたと言ってもいいと思うんです。

なるほど。それは言えますね。私も自宅は分譲マンションですが、購入する時に間取りや、内装材や、デザインには意識が行っても、窓については、大きさや方角や見える景色のほうにばかりで、窓自体に慎重になることはなかったですね。

そういう方がほとんどなんですよね。しかし、こと空調効率ひとつ取っても実は窓が曲者だとも言えるんですね。どういうことかと言いますと、どんなに建材にこだわり堅牢な家を建てたとしても、住宅における熱の流入や流出のほとんどは、実は窓からという事実があるんですね。冬、建物から逃げ出す暖かい熱の48%は窓・ドアからなんですね。夏に外から入り込む暑い熱の71%は窓・ドアからという調査データがあるんですね。

■マテックス社の主力商品=「エコ窓」の魅力

はっはあ~、48%に71%ですか?それじゃ、昨今エコ替えと称して、家電の省エネ商品が注目されていますが、何をやっても窓やドアからのロスを考えると意味がないってことにもなっちゃうかもしれませんね。なんかこんな感じで話をしていると、テレビの通販番組で大げさに感想を言っている芸能人になったような気分ですね(爆笑)。

(爆笑)。今野さん、面白過ぎますよ。まあ、家電の省エネ化は全然無駄ということはもちろんないのですが、省エネインパクトが大きく違うということですよね。そこで今注目し注力しているのが「エコ窓」なんですね。これには3つの方法がありまして、ひとつは内側に窓をもうひとつ付ける、いわゆる内窓をつけて窓を二重にする方法、そして、窓ガラスだけを複層ガラス等の断熱性能の高いガラスに取り替える方法、最後に窓そのものを全面的に取り替えてしまう方法です。
 

窓の模型を使って説明をする松本浩志氏
 

なるほど「エコ窓」という商品があるわけではなくて、そうした3つの方法でエネルギー効率のいい窓に取り替えていく概念を「エコ窓」と言っているわけですね。先ほど48%71%という熱の流入・流出データのお話がありましたが、大きく変わるんでしょうね。

ええ、そうなのです。日本全国の既存住宅を全て「エコ窓」に切り替えていったとすると、約1700万トンのCO2排出量の削減が実現すると言われています。これはどういう数字かと言いますと、京都議定書で削減が義務づけられた温室効果ガス全体量の実に23%にもなると試算されているんですね。各家庭で見ても、窓ガラスや窓サッシが高耐久品ですから、わずかなメンテナンス費用で半永久的なエネルギーの削減が見込めるわけですから、費用的にも十分メリットがあるわけなんですね。この点が窓の社会性、貢献度の大きさを感じる大きなポイントのひとつです。

生活者の視点で言えば、燃料費の節約が直接的にできるとなると、これは関心の高い問題になりますよね。

そうなんですよね。地球レベルのCO2の削減という動機だけで皆が皆、行動してくれるわけではないですからね。実は今野社長、非常的な問題だけではなく、大きな問題があるんですよ。「ヒートショック」という言葉をご存知ですか?

「ヒートショック」ですか?初めて聞きましたね。何かに夢中になり過ぎて、頭がオーバーヒートして倒れる、みたいなことですか(笑)。

さすが今野社長、ユニーク性抜群ですね。残念ながら不正解でして・・まあ本気でおっしゃっていないでしょうけども(苦笑)。ヒートショックというのは、家の中で、暖房の効いた暖かい部屋から、トイレなどの寒い場所に移動する時に、身体が受ける急激な温度変化のことでしてね。このショックで亡くなる方が年間に14.000人いると言われているんですね。これは家庭内に限ったデータですけれども。交通事故による年間の全国での死亡者数が5,800人弱と言いますから、実に2.4倍もの方が亡くなっているということです。

それは驚きですね。窓を「エコ窓」にすることによって、家全体の室温の低下が抑えられて、ヒートショックも減らすことができる、というわけですね。松本社長、データで話されるので、説得力がありますね。さて、CSR大賞からだいぶ話が遠くに行ってしまいましたので戻したいと思うのですが、よろしいでしょうか(笑)。話が脱線しているわけではないのですが、相当「窓」の宣伝に力が入って来られたようですので(笑)。さて、今回のCSR大賞特別賞の受賞の要因に「本業とCSRの統合」にあるんだ、というお話がありました。窓が持つポテンシャルに着目してマテックスさんが進めてきた様々な取組みが総合的に評価されたということだと思うんですよね。その取組みを少し具体的に聞きたいと思うんですが、資料を拝見しますと、マテックスのお客様である「ガラスの販売店」に皆さんを支援する取組みと、地域活動への参画をはじめとした社会への取組みと、社内的な取組みとに分けて考えることができるようですね。マテックスの特徴である本業とCSRという意味では、お客様であるガラス販売店の皆さんを支援する仕組みに興味がありますね。

今野社長、よく資料を見てきてくださっているようで、とてもありがたいですね。

■卸売業の精神~時代が変わっても、変えてはいけないものがある~

とてもお忙しい松本社長にお時間いただくというので、予習怠りなくです(笑)。お客様に関しての取組みでは、販売店さんの経営支援的な取組みが特徴的ですね。これは企業理念の二つ目にある『「卸」の精神を貫く~共に考え、協働し、各々の顧客販売店の成長と発展を目指す~』という理念の実現ということなんでしょうね。「次世代経営者の会」というタイトルに実にひかれました。

そうなんです。私どもの位置づけというのは、あくまでも「卸売り」なんですね。製造メーカー → 卸売り → 小売 → 建築業者 → エンドユーザー、という流れが厳然とあるわけですね。卸売りが210社、小売に至っては15,000社がひしめく、ご他聞にもれず競争の激しい業界です。この業界に限らず、生き残りをかけて、卸売りが建設業者に直接販売するというような、いわゆる中抜きが当たり前のように行なわれていますね。弊社は創業から今日まで、そうしたことは一切考えず「卸売り」に徹底的にこだわってきました。それぞれの立ち位置を尊重し、むしろ智恵を出し合って協調、協働してこそ業界の発展があると信じて疑いません。その一つが今おっしゃっていただいた「次世代経営者の会」というものです。これは、5年前からの取組みで、弊社が業界の将来を担うガラス販売店の若手後継者と共に発足した会なんですけどね。後継者として同じ立場にある者達が集まって、経営実務の向上を図るための勉強会・セミナーを続けています。日常の情報交換やネットワーク作りも目的にしています。

こうした会というのはエネルギーがかかりますよね。継続が実に難しい。5年間とは大したものですね。講師などは外部から招聘しているんですか。

テーマによってはそうですが、たいがいのことは自社で講師役を買って出て運営しています。こうした経営者の勉強会のほかに、販促支援のプロジェクトも進めていましてね。これは「めざせ!」シリーズになっているんですが、「めざせ!地域一番店プロジェクト」や「めざせ!地場オンリーワンプロジェクト」といったタイトルで、エリアマーケティングのノウハウや、チラシの集客方法、ウエブサイトの立ち上げサポート、時には地域の一般ユーザー様への営業活動や、現場の顧客満足度向上策などの情報提供などもして、地域に根ざした、オンリーワンの繁栄するお店、工務店づくりを共に考えています。

なるほど、単にお客様に押し売りをしていくのではなく、お客様の経営そのものをサポートしていって、共に栄えようというわけですね。目から鱗の共生戦略ですよ。先ほど松本社長が言われた、「卸」の精神を貫いて、業界を共に盛り上げていこうとする姿勢は素晴らしいと思いました。こうやってお聞きしていますと、松本社長の視点は「長期的視点」ということと、「継続は力」ということですね。言い方を変えると狩猟型ではなく、農耕型に徹しておられる。必要だと思っていても、実行がなかなか難しい視点ですよね。それを楽々とやっておられるように見える。これは松本社長自身が昔からお持ちの感覚なんですか。

なんか、今野社長の方から実力以上に高いレベルでご理解いただいている感じで、恐縮してしまいますが・・・。しかしそのように言っていただけるのは、とても光栄です。ただ最も言えることは、これらのことは取り組み内容に違いはあっても、代々受け継がれてきた事業観なのだということなんですね。先ほど少し触れましたように、私自身が社長となって経営を受け継いでいくということになってから、考え抜いた結論は、歴史の中に強さがある、言い方を変えれば「時代が変わっても、変えてはいけないものがある」ということです。今、今野社長におっしゃっていただいた「長期的視点」や「継続を大事にする視点」や「農耕型の商売の視点」といったものは、営々と受け継がれてきたものなんですよね。私がしたことと言えば、それを明文化しただけ。そして具体化するためにどうしたらいいかということを、社員達と一緒に考え実行していくことが使命だと思っています。

後編はいよいよ「企業理念」のお話に入ってまいります。

ご意見・ご感想をお待ちしています

経営者略歴

マテックス株式会社 代表取締役社長
松本浩志氏 (Matsumoto Hiroshi) 

1998年 米国ビジネススクール卒業後、株式会社 東芝入社。DVD機器の海外営業および商品企画を担当。
2002年 マテックス株式会社に入社。情報システムインフラの整備、営業部門管理、新人事制度の構築等を行う。
2009年 代表取締役社長に就任。エコ窓の普及を軸としたCSRへの取り組み、社内SRの推進に尽力している。

Company Data

社名 マテックス株式会社
所在地 〒170-0012
東京都豊島区上池袋2-14-11
電話 03-3916-1231
FAX 03-3916-2645
設立 昭和24年11月
業務内容 ・建築用板ガラス、鏡、住宅用サッシ、ビル用サッシ、エクステリア、住宅設備機器、店舗装飾資材、樹脂建材等の卸業および設計・施工

・複層ガラスの製造、ガラスの切断加工、中低層ビル用サッシの製作等の製造・加工業

・販売店支援 取引先であるガラス・サッシ販売店と共に、新築やリフォームのニーズ発掘およびHP作成等

・環境活動 環境省登録の『エコ窓普及促進会』の事務局を務め、地域密着型の社会貢献の実施
URL http://www.matex-glass.co.jp/

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