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- Interview No.119

パーソナルスタイリストのプロフェッショナルとして (その3)
今回は、パーソナルスタイリスト創始者の政近準子さんのインタビューをお届けします。インタビューというよりも、対談の趣となりました。何しろテーマが「プロフェッショナルとは何か?」というもの。プロ論については一家言ある今野誠一、共に語り合ってしまいました。日本のパーソナルスタイリスト・パーソナルスタイリング・ファッションセラピーは政近準子さんから始まりました。この仕事にかける熱い思いは並々ならぬものがあります。二人の熱いトークをお楽しみください。
【日本流のパーソナルスタイリスト】
今野 政近さん、今さら言っても駄目ですよ。
たった今、長い前置きって言ってましたよ
(と、政近氏を恨めしそうに見つめる今野)。
気を取り直して、話に戻りますけどね。
政近さんが展開されているファッションレスキューの
パーソナルスタイリストの仕事の大きな特徴に、
ご依頼者にカウンセリングを施す、ということがありますね。
先ほどの話の中でもあったように、正にこれは「言葉」で
行われるものですよね。
政近 その通りですね。もともとカウンセリングを
やらなきゃいけないなんて、思っていなかったんですよ。
ファッションのことをこれだけやってきたんだから、
依頼者を今よりもっと素敵にするというのであれば、
さっそく一緒にお買いものに行って、
こっちの方がいいんじゃないかとアドバイスをして、
任務完了。
ビフォー・アフターを確認して、「ほら格好よくなったでしょう」と。
それくらいのことは、さほど難しくないと考えていたんですね。
本当にそうだったんですよ。
今野 パーソナルスタイリストの日本における
創始者ということですから、そういう職業は
日本になかったわけですよね。
政近さんは、イタリアに住んでおられたと伺ってます。
イタリアと言えば、ファッションの本場ですね。
あちらで学んだことが大きかったんでしょうか。
政近 そうですね。
あちらでは富裕層や政治家の先生をはじめ、
パーティなどに行かれる時等のシチュエーションで
何を着るかという時に、お付きのようにそういう方が
いらっしゃったんですよ。
今野 専門職なわけですね?
政近 そうです。専門職なんですよ。
さすがにファッションの歴史があって、
最先端を行く国は違うなと思ったものでした。
元々おしゃれそうで自分でも決められそうな人たちでも、
そんな専門家がきちんとついているということへの驚き。
それが職業として成り立っているんですからね。
最初はメイドさんがいるのかなと思ったら、
お洋服を見立てているんですもの。
今野 IT業界などで「タイムマシン経営」という言葉がありますね。
これはソフトバンクの孫社長が言いだしたと聞いてますが、
IT先進国のアメリカがやっていることを日本に持ち込むと
10年から20年は遅れている日本で十分にビジネスになるという
考え方ですね。
そんな具合で、あちらで修行して帰って来られて、
ある程度同じように、富裕層や政治家の方々等に、
シチュエーションに合わせたファッションのアドバイスを
してみようと考えますよね。
政近 その通りなんです。そしたら日本っていうのは、
そのこと自体は分かってはいたことなんですけれども、
階級の差がなくはないけれど最初からそれほど大きくないですし、
あったとしても日常生活からはなかなか分からないんですよね。
あちらでは、ファッションはもともと階級を知らしめるものということもあって、
そういうものが残っているわけです。
今野 なるほど、そうですよね。
日本では見た目でお金持ちそうに見えても、
本当のところは分からないんですよね。
男性で高そうなスーツをビシッと決めている人が
ローン漬けのマンションに住んでいたり、
いつも綺麗に着飾っている女性でもうちに帰ったら
4畳半に住んでいるかも知れない、という世界ですよね。
政近 そうです、そうです。
あまり詳しく言うと差別発言にもなってしまうかもしれませんが、
これはまずお話を聞かないと実態が分からないと思ったんですよね。
ああ、こういう所に行かれる方だったら、
これくらいの感じの人だろうかというような、
こちらの勝手な想像では、
太刀打ちできないというわけです。
今野 そういうある一定の暮らしのレベルが、
役職だとかそういうものでは測れないし、
価値観にもものすごく差があるということですよね。
政近 そうなんですよ。さらに言うと、
日本人はやっぱり繊細なんだということ。
「あなたはこれが似合うわ」というアドバイスに対しても、
微妙に「本当かしら?」とか「どうしてそう思うの?」
いうことに対しての慎重さもある。
それは個人個人の育った環境に根差したものもあれば、
幅広い趣味趣向の広がりから来る個々のセンスの違い
ということもある。
単純に「素敵になる」という目的に向かっても、
色々考えなくてはならないことがあるということが
分かってきたわけです。
今野 これは、実に面白いですね。
日本人の特性ということになるんでしょうか。
そうなると「パーソナルスタイリスト」をしていくに当たっても、
日本人向けのものを自分で作らなければならなかったということですね。
創始者としての苦労ということになりますね。
例えば、ハンバーガーをそのまま持ってきても日本人に売れない
という話がありますね。
モスバーガーが日本人の嗜好に合わせた戦略を
取って来たという話。
味もサービスの在り方も転換ができたからこそ
うまくいったのだという話がありますけど、そっくりですよね。
政近 正直のところ、きつかったですね。
そのまま持って来られていれば、
ここまで大変ではなかったと思います。
「これは大変なことを始めてしまったな」と
思った時期もありましたね。
今野 先ほどのお話で思ったんですが、
よく「日本人は・・」と日本人の特性として
話されることがありますが、
それは実は逆で、極端に言うと
「一人ひとり違う」という前提で
対応しなくてはいけないということですよね。
背景や好みやその方のアドバイスに対する受け止め方、
それはコミュニケーションの癖ということになるんじゃないかと
思うんですけど、
それを把握しながら進める必要があるということなんですね。
政近 今野さん、カウンセリングの背景をよく理解していただいてますね。
言ってみれば、どんな生き方がしたいのかを理解することも
必要なんだということですよね。
この部分は日本の特性ということになるんでしょうけど、
基本的に将来何を目指そうと自由な国なんですよね。
時代の変化ということもあるんですが、
小さい頃から何になりたいかを「夢」として描くことができますから。
今野 両親が漁師なら漁師になるし、靴屋だったら靴作ります、
という環境ではないですからね。
カウンセリングしないといけないというのは、
未来があまりにも自由な中で、
ワードローブ計画の背景が描きにくいということなんですね。
先ほど「装うことは生きること」というキーワードがありました。
今後どう生きるかを共有理解しないと、
ワードローブ計画も立てられないということにもなるわけですね。
聞けば聞くほど難しい仕事だな、これは・・・。(沈黙する)
政近 難しいですよ。だからプロになるって、
並大抵のことじゃないですよね。
今野さんもそうでしょうけど、
こうした依頼者の人生と丸ごと向き合うという仕事は
安易な考えではできないことだと思います。
もはや「服が好きで~す!」って、
来られてもね(笑)やっていける世界ではないわけですよ。
今野 お聞きしていると、人生に通じていなくてはいけない、
言葉の達人でなくてはいけない、
コミュニケーション能力がなくてはならない、
となるとファッションの専門性は4番目か5番目に
求められることかもしれない。
政近 本当にそうですね。
表面的にやっていると結局は続かない。
オシャレで高価な服を一時的に身に着けたところで、
その方のお財布やパーソナリティーに合わないのでは、
早晩無理が来るわけです。
今野 はー!なるほど、そういうことですね。
経済力やその方の本来のパーソナリティに照らして、
無理のない形で、日常生活に根差して継続できるように
していかなければ意味がないと。
政近 そうなんですよね。
それはけっこう大変なことなんだけれども、
そこをやらないと、お客様の感想が過去形になって
しまうんですね。
「すごく楽しかった~。いい経験させてもらった~。」
というような。
今野 思い出づくりを手伝っているんじゃないんだ
ということですよね。
七五三の衣装を選ぶようみたいな感覚ではだめで、
未来の人生プランを先取りしていく進取の姿勢が
必要な仕事ということがわかります。
政近 そうだと思います。
未来の自分の理想の生活に向かって、
現状を数歩いい方向に変えていくご支援ができなければ、
たぶんこの職業はだめなんだと、そう感じています。
(続く)
経営者略歴
有限会社ファッションレスキュー 代表取締役社長
政近準子氏 (masachika junko)
1965年生まれ。広島県出身。
株式会社東京スタイル・ファッションデザイナーを経て
イタリア移住の経験を踏み、日本初のパーソナルスタイリストとして独立。
有限会社ファッションレスキュー設立。
日本で初めてタレントやモデルだけではなく一般の方にもスタイリングをご提案。
その職業を【パーソナルスタイリスト】と名付けたが
当初は奇想天外だというだけで、誰もビジネスとして確立できるとは思ってはいなかった。
今ではファッションレスキュー全体で、通算1万人以上のスタイリング実績があり、
多くのメディアに取り上げられている。
2011年、初の著書『働く女性のスタイルアップ・レッスン』出版。
Company Data
| 社名 | 有限会社ファッションレスキュー |
|---|---|
| 所在地 | 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-4-11シビタス原宿104 |
| 代表者 | 政近準子 |
| 業務内容 | ・ファッションに関する業務全般 ・個人向けスタイリスト業務全般 |
| URL | http://www.fashion-rescue.com/index.html |
今野誠一のブログ- ブログ更新一時中断中(まもなく再開します)
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