語る 経営者インタビュー

2009.04.23 UPInterview Vol.107

NPO法人 GoodDay 代表 荒昌史氏

遊びながらエコ ~一緒に遊んで、一緒に学ぶ~ (前編)

今回は、NPO法人GoodDay(グッデイ)代表 荒 昌史氏のインタビューをお届けいたします。 NPO法人GoodDayとは、『遊びながらエコ』をコンセプトに、地球環境を守る活動をしている団体です。2005年から活動を開始し、2008年7月にNPO法人化となりました。様々なイベントやツアーを通じて、とにかく「一緒に遊んで、一緒に学ぶ」姿勢をとても大切にしています。「これって、環境とどうつながるの?」というほど、GoodDayの企画するものは遊びココロ満載です。実は荒氏、現在は某不動産デベロッパーのCSR担当者でもあり、市民活動と企業活動の両側面から環境活動に取り組み、今後ますます活動領域を広げていくことは間違いないでしょう。そんな荒氏にお話を伺いました。

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「社会をもっとよくしたい」と社会問題に目を向け、自らNPOを立ち上げた若きリーダーから今日は沢山の刺激をいただきたいと思ってまいりました。ただ思うだけじゃなくて、きちんとかたちにされているところに正直感心させられます。
 
ありがとうございます。手探りの活動ではありますが、ようやく毎回集まってくださる参加者の方も増えてきて、「遊びながらエコ」の形が少しずつ出来てきたのかなあ、とは思っています。具体的な活動内容も後でお話させていただこうと思いますが、これから皆さんのお力をお借りして、もっともっと質を上げていくことができればうれしいと思います。
 
ただ、正直のところ僕のなかでは、何か特別なことをしているという感覚はなく、ビジネスマンとしての自分と荒昌史一個人としてのバランスをうまく保っていくための活動といいますか、ごく自然に活動しているだけなので、あまり大ごとには考えていないのですが。しかも、活動を始めたのも社会人に入ってからですし・・・。
 
『GoodDay(グッデイ)』という響きがいいですね。人を陽気な気分にさせ、親しみやすさに溢れているネーミングだと思いますが。
 
そう言っていただけると本当に嬉しいです。手前味噌になりますが、私もすごく気に入っているんです。『GoodDay』を一緒に立ち上げた友人とネーミングについてブレストしました。社会問題を真正面からみると厳しい現実しかなく、気持ちが滅入りそうなほど希望の光が見えないような状況もある。そんななかでも自分たちの目指したい理想の姿をイメージしながら、自分らしく生きる、楽しく生きるとか、笑顔で暮らすことができたらいいなと。外国では、よく別れ際に「Have a good day!」(素敵な1日になりますように)と相手に声をかけますが、そんなニュアンスを含みつつ、人々が笑顔で過ごせる日々を作れるようになりたい、という意味を込めて『GoodDay』と名付けました。

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いいですね、抜群のセンスを感じます。ひとことで社会問題とはいっても色々あるとは思いますが、そのなかで“環境“を取り上げていらっしゃるのはなぜですか?
 
端的に言いますと、自分にもできることがたくさんある領域だ、と確信したからです。
 
大学時代にジャーナリストに憧れ、社会福祉や貧困の問題に興味を持ち始めました。そして3年生以降のゼミでは、国際協力をテーマに勉強をするようになりました。ところが、国際協力や戦争の問題は、非常に政治的、経済的側面が強い。そこに私が実際に関わり、何か影響を与えられるようになるには限界があるとも感じるようになり、すべきことが見つからない状態になっていました。そんな時に、環境問題をテーマに活動をしている先輩と知り合ったことがきっかけで、ひとつ扉が開いた気がしたのです。
 
地球温暖化や資源枯渇、生態系の破壊、森林減少、ゴミ問題など、今後地球環境はさらなる危機的な状況に陥っていくように思います。それが人とどう関係があるのかと言えば、すべてにおいて貧しい人から先に恩恵を受けられなくなるだろうということ。つまり、開発後進国の人たちがより危機に陥っていくことなんじゃないか。環境問題を語るということは、人を守ることに直結することでもあるように感じるようになりました。私が国際協力について勉強している際に感じた、不遇にも恵まれない環境にいる人たちを何とか助けたいという思いは、環境問題にもつながっていることが分かった瞬間、「挑戦してみよう」という気持ちになりました。環境を通じたアプローチで、私も自分の夢に一歩近づけると確信し、迷いが晴れたような気になりました。
 
また、後付けのようでもありますが、幼少時代を過ごした環境からも影響を受けているかもしれません。父親の仕事の関係で熊本で暮らした際には、裏山を思いっきり駆け回ったり、虫を捕まえたりして、毎日ドロドロになるまで遊びに夢中になっていました。休日には家族で公園に出かけ、のんびりと過ごした思い出は心を穏やかにしてくれます。そして、埼玉県に戻ってきてからも、当時まだあちらこちらにあった近所の空き地を拠点に、小さい子を引き連れて秘密基地を作ったりして遊び、とにかく室内というよりも、自然のなかで体を使って遊び、学ぶことが多くありました。きっとそんな原体験から、良き時代の“環境”を取り戻したいという思いが重なっているような気もするのです。
 
現在代表をされているということは、幼少時代からリーダー気質みたいなものを発揮されていたんでしょうね。
 
いいえ、実はそんなことはないんですよ。幼少時代こそ正真正銘のガキ大将だったんですけどね(笑)。こんなことを今ごろ言っていたらスタッフに怒られるかもしれないんですが(笑)、今の自分を客観的にみると、決してリーダーに向いているタイプではないなと(笑)。チームプレイは好きなほうで、できることなら、自分のビジョンや理念をチームに明確に示して、それによって皆が自律的に動いたり、各担当が自然に協力し合っていきいきと楽しく動ける組織づくりがしたい。そう思っているのですが、現実はなかなか難しいですね。

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なるほど、そう思っている経営者も少なくないと思いますが、確かにそう簡単なことではないですね。特にベンチャー・中小企業の経営者の方々は、現状を打破して成長させていくためには、結局のところ「トップたるもの、強いリーダーシップを発揮していくしかない」という考えに落ち着いて、日々頑張っているというのが実態だろうと思います。
 
そうなんですか。もちろん、強いリーダーシップへの憧れはありますし、そういった能力やスキルを身に付けていきたいとは思っています。でも、私はまだまだ発展途上ですね。自分は“リーダーシップ“を発揮していると思っていたのに、単なる押し付けでしかなかったという苦い経験も過去にあります。
 
失敗談ですか、差し支えなければ具体的にお聞きしたいのですが。
 
中学時代はサッカーに明け暮れ、高校もサッカーに実績のある学校に進学しました。県でベスト8には残るチームでしたから、練習もきつかったのですが、好きなことでしたから充実した日々でした。
 
高校2年の時に副キャプテンに任命され、チームの練習メニューを組み立てるなど、ある意味、監督代行のような業務も任されていました。競合チームを分析したりするなど戦術を考えるのが好きで、比較的得意だったので、勝つための練習メニューを考えるのは非常に楽しく、やりがいを感じていました。全国高校サッカー選手権大会出場を励みに、どんなこともでもやってやろうという気持ちでした。
 
ところが、僕は途中で大きな怪我を複数してしまい、あまり練習に参加することができなくなってしまいました。たとえ一緒にグランドを走ることはできなくても、チームを勝利に導くためならと次第に練習にも細々としたことで口を挟むことが増えていきました。そんな僕の気持ちとは裏腹に、「荒は、自分がやらないのをいいことに、好き勝手なことばかり言ってるよ」という雰囲気が漂いはじめたのです。自分としては、怪我で一緒に練習できない歯痒さもあり、それをどうにもできないフラストレーションもあったのですが、うまくそれを伝えることができなかったんですね。

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でも後から振り返って考えてみると、僕は自分の一方的な意見しか伝えていなかったようにも思うのです。他のメンバーが何を考えていて、どう感じているかなんてじっくりと耳を傾けたことがなかったかもしれない。「自分の考えた戦略は素晴らしいもの。この戦略通りにやれば絶対に勝てるはずである。だから、皆は僕の指示通りに動くべきだ」という驕り高ぶった気持ちが、言葉の裏に見え隠れしていたんでしょうね。
 
そんな過去の失敗が心の傷となり、自信と目標を失いました。傷は意外に深く、大学時代に進学してからもしばらくは自信を取り戻すことができずにいました。
 
そうでしたか。自分は良かれと思ってやったことでも、真意がきちんと伝わっているかどうかは判断が難しいところですよね。でもそのような経験が、荒さんのリーダーとしての成長に役立ってくるはずですよ。さて、そこまで力を注いだサッカーですが、大学に入られてからは続けなかったのですか?
 
大学に進学してからも一応サッカーは続けていたものの、公式のサッカー部ではなく、高校時代とは違って練習回数も少なく、新たなる目標を見つけられず、あまり真剣にはなれませんでした。高校時代の、チーム運営をうまくできなかったという挫折感からなかなか立ち直ることができなかったのです。
 
ただ先ほども言いましたが、政治学を学び、ジャーナリストに憧れを持ったので、社会問題に目を向けるきっかけにもなり、それに対して自分にできることを考えるようになりました。いつからか、物事を斜めに見ていても何の解決にもならず、ほんとうに正しいことを正しいと言い、実行していきたいという思いが湧いてくるようになりました。
 
というのも、困難な環境に置かれている方々の立場を知るにつけ、自分がいかに両親から愛情をたっぷりと受けて育てられてきたか、日本という物質的に恵まれた社会に生まれてきたなどを再認識することになり、それにまずは感謝をしなければいけないと。そして、自分だけがそんな幸運の中にいて、ただ何もせずにいて良いのだろうかという疑問も感じるようになったのです。
 
ないものばかりを探すのではなく、今あるものをしっかり見つめ、感謝できる姿勢を持てるというのは素晴らしいことだと思いますよ。そんな荒さんですが、大学卒業後は不動産デベロッパーに入社されたんですね。このご経歴は意外に感じたのですが(笑)
 
そうですよね。僕が入社を決めたのは、将来何をするにしても、まずはビジネスマンとしての基礎、人間としての基礎をきちんと作らなければならないと考え、それが実現できる企業だと感じたからです。特に国際協力の世界で感じた政治的なところで社会問題を解決していくには、自分の実力を上げていくべきだと。ゼロからモノを仕入れ、作り、販売するといった言わば商売の原点ともいえる環境で、自分の成果がはっきりと見える仕事をしてみたいという思いもあって入社をしました。

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そんなななか、社会人生活にもまだ慣れないだろう1年目からNPOを立ち上げていらっしゃいますね。
 
不動産の企画、開発などを担当する一方で、より素晴らしい社会を作るために自分にできることは何かないだろうか、という思いは常に持っていましたから、休日に様々なボランティア活動に参加していました。参加する度に必ず新しい出会いがあり、その出会いが自分に刺激を与え、ビジネスとはまた違った意味でも多くの学びを得る大切な場となっていきました。そうしているうちに、企画されたものに参加するよりも、実は企画する側の方がもっと楽しいのではないだろうかと考えている自分がいました。
 
それまでの自分を振り返ってみると、小・中・高・大学とずっと副キャプテンだったので(笑)、私は組織のトップというポジションに就いたことがない。新しい自分にチャレンジするという意味でも、自分が組織全体を引っ張っていくような役割に就く良い機会はなるのではないか、否自分にはまだ無理じゃないかなどと自問自答を繰り返していましたが、最終的には友人に声を掛けてGoodDayを誕生させました。

ご意見・ご感想をお待ちしています

経営者略歴

NPO法人 GoodDay 代表
荒昌史氏 (Masafumi Ara) 

1980年 9月 生まれ
2004年 3月 早稲田大学政治経済学部卒業
2004年 4月 不動産デベロッパーに就職
2005年 1月 GoodDay(グッディ)を設立
2005年11月 勤務先にCSR専門部署の設立を提案
2006年 7月 提案が受け入れられてCSR専門部署を設立、以後担当者をつとめる
2008年 7月 NPO法人化後、代表理事に就任

Company Data

社名 NPO法人 GoodDay
所在地 〒103-0021
東京都中央区日本橋本石町3-2-6
ストークビルヂング本石9階
代表者 代表 荒 昌史
設立 2005年1月1日
業務内容 ①クリーンアップ・ボランティアの企画・運営・コンサルティング 例:逗子ビーチクリーン
②体験型エコツアーの企画・運営・コンサルティング 例:間伐ツアー、フジ☆スカ
③環境啓発イベントの企画・運営・コンサルティング 例:エビ☆スカ、Tokyo Lohas Night
④環境啓発キャンペーンの企画・運営・コンサルティング 例:Green Vote Project  
⑤上記に付随する一切の事業
URL http://www.goodday2u.org/

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