語る 経営者インタビュー

2008.08.19 UPInterview Vol.101

株式会社ロックオン 代表取締役社長 岩田 進氏

企業理念は「Impact on the World」 (前編)

株式会社ロックオン 代表取締役 岩田進氏のインタビューをお届けいたします。同社はインターネット広告の効果測定システム「アドエビス」で、業界トップクラスのシェアを誇る企業であり、またECサイト構築システムのオープンソース「EC-CUBE」の企画・開発でさらなる急成長を遂げられています。

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ご経歴を拝見しましたが、ロックオンは岩田社長にとって3度目の起業ですね。若くしてこのご経歴は大変興味深いのですが、まずは最初に起業されるまでの経緯をお伺いしたいと思います。

原点は家庭環境にあるかもしれないですね。家業を営んでいたというのが、一つのきっかけだったかも知れません。色々苦労も見てきましたが。
起業そのものは、実は深く考えてはいなかったんですよ。一般的には就職してから起業したいなと考え始めたり、または、ある程度早い段階から起業意識があって計画的に進められるとかあると思うのですが、僕の場合は、そういう意識は全然なくて、何と言うか本当に自然な流れだったんですよ(笑)。

1度も就職はされていませんよね。最初の起業はどういうきっかけだったのでしょうか。

最初の起業は大学1年の時です。経緯としては、まず12月頃飲食店にアルバイトとして入ったんですね。アルバイトを含め15人程度で運営されているお店でした。オーナーがいらっしゃって、手広くというより、オーナーご自身と息子さんがもう1店舗というような経営をされている、オムライスとパスタとカレーという何でもありの気さくなお店でした。その中で、アルバイトにありがちなホール係と、あとは簡単なレシピに従って料理なんかもやっていました。

しばらくやってみてわかったのは、他のアルバイトの人達に全然やる気がないんですよ。全然って言っても飲食店の一般レベルなのかも知れませんが、自分はアルバイトだから決められたことだけこなして時給もらったら終わりだし、暇な時は座っていて、お客さんが来たら最低限のことだけするような感じで、お店を良くしようとか向上心とかそういったものが全く感じられなかったんですね。

ところが僕は、そういう状況に抵抗を感じまして、せっかくやっているのにお客さんに満足もされずお店も赤字ってどうなんだろうと疑問に感じたんですね。もっとやるべきことが他にあるんじゃないかと、何となく思ったんです。みんなやる気がない訳ですし店長も雇われ店長で存在感もない。それで、入って2週間ぐらい経ってオーナーの所に行って「僕にやらせてください」と言ったんですよ。

それはすごいですね。入って2週間の大学1年生アルバイト生ですよね?

条件としては、赤字の負担もしますし、店の運営・人員の採用も全てやるのでお店を譲って下さいという話をしたんですね。そうすると当然ちょっとびっくりもされたのでしょうけど、赤字も持つと言っているし何度か交渉するうちに、じゃあそうしようかという話になったんですね。

それにしてもオーナーも大英断ですね。

そうですね。海の物とも山の物ともわからない、20歳になったばかりの若造ですから(笑)。そんなこんなで、みなさん辞めていただきました。色々反発もあったんですよね。10年くらいやってる人もいましたから。おまえは何をするんだと。今になると、もう少しやり方があったかなとは思いますね。
そこから、採用活動からメニューの開発とか内装工事とか、そんなことをして一気に1月には体制が整い、2月には新規オープンした訳です。これが1回目の起業です。でも、この起業は、結果的に1年弱くらいで失敗したんです。

失敗の原因はどこにあったとお考えですか?

原因はいくつかあるのですが、まず包丁を持ったことがなかったんですよね。こうした小さい組織では、プレイングマネージャーとなりますので、何をするにもスキルの必要性を感じました。

1年弱という短い期間で終わった1度目の起業の結末は、当時どのように感じられましたか?

自分がどうこうよりも、周りの人に申し訳ないというのを強く感じました。オーナーに対しても、辞めてもらった皆さんにも、お客様に対しても申し訳なかったなという想いでした。やっぱり、会社は継続しなければならないと強く思いましたね。 

1度目の起業の失敗は、2度目の起業にどのように活かされたのでしょうか。

最大の反省は、あまりのスキルのなさでしたので、やはりスキルを身につけなければと、専門性の重要性を感じたんですね。ただ、専門性も一つだけだと“オタク”になるというか、やはり二つ以上の組み合わせが大事だと思いました。そこで選んだ二つというのが、ITと金融だったんです。

まずITですね。当時は今ほど発展もしていない時代でしたし、ITっていうのは幅広いですからね。その中で、オペレーターレベルでは意味がなく、デベロッパーレベルにならないとやる意味がないという想いがありました。そこで見渡した時に、プログラムの開発があり、データベースのマインディングなんかもある、その中でインターネットのネットワークがこれからの時代重要になってくると考えました。それで、ネットワークをやっていこうと選んで、それを極めていくべくコンピュータを買ってくるところから始めたんです。それはそれで結構頑張ってやりましたね。思い返せば今の会社の元となる所へも繋がっているかも知れません。

もう一つ金融は、当時ネットで株を売買するとか、そういったことが扱いやすくなってきた時期でもありましたので、取りあえず証券会社で口座開設してというところから始めました。ちょっと株を売買してみるとかやっていたんですが、コンピュータの方が面白く、最低限レベルを脱しなかったですね。

そんなこんなで、インターネットのネットワークのスペシャリストになってやろうくらいの心意気だったんですけど、当時たまたまアルバイトの面接に行って、そういう知識を活かした、例えばプロバイダの会社でのアルバイトなどですが、行ってみると周囲がかなり手強いなという印象を持ちまして、かなり専門家なんですよね。もう身なり構わずやるくらいの勢いじゃないと勝てないんじゃないかという印象でした(笑)。そういう人達は、もともと好きですしね。もちろん僕も好きで始めたんですが、上には上がいてもっと好きな人達がいると思い知りました。それで、ちょっとこれは難しいのではないかと感じたんですね。

そこで、その道のスペシャリストというよりも、そのスキルを活かしたもっとビジネス寄りの道があるのではないかと思い始めました。当時インターネットバブル崩壊寸前のような時期だったんですが、思考の末、着目したのが旅行ビジネスとインターネットの相性っていいのではないか、この分野で何かできるのではないかということでした。

実は飲食店を始める前に、バックパッカーをしていた時期があるんですね。その時に見た光景っていうのが、パック旅行とかツアーには抵抗があるという人達が、結局みんな「地球の歩き方」持って行ってるみたいな(笑)、あれっ?ていう感じだったんですよね。これはちょっとおかしいんじゃないかなと思って、もっと旅行に関する情報をうまく流通させて行くことができれば面白いし、ビジネスになるんじゃないかなと思い付いたのと、インターネットをやり出していたので、それを融合させたビジネスを始めた訳です。大学3年の時でした。

◆考えるより先に、行動あるのみ。

2度目の起業ですね。大学3年生と言えば一般的には就職活動を開始して、ようやく将来について考え始めるという時期かと思いますが、当時岩田社長はご自身の実現したいことが明確に見えていらしたんですね。実現したいことの発想というのは、どうやって生み出されるのでしょうか?

発想というより、こういうものが欲しい。必要だ。という想いですね。この時は「旅行ビジネスをやりたい」と思って、結構本気で取り組んでいたんですよね。会社作って事務所と名刺作って、海外出張だとか言って海外にも行って。学生なんだけど海外出張ってそれだけで自分のテンションも上がりますよね(笑)。そんな感じでした。儲かってなかったですが忙しい時間を過ごしましたね。

ただ、旅行をネットワークでというビジネスモデルは当時なかったので始めた訳ですが、実は難しかった。典型的なビジネスモデルの失敗と言いましょうか。旅行のコンテンツを集めていって、そこで物販やツアーに繋げていくというものだったんですが、媒体ビジネスなので、1対1で対価をもらうのではなく、広く集めて第3者からお金をもらうって言うのは時間もかかるし、先行投資が大きくて、自分の持っていた資本と労働力だけで賄っていくのは現実的ではなかったですね。情報を収集して浸透させるまでのプロセスの時間が予想外にかかってしまったと言いましょうか。結局このビジネスは半年ぐらいで方向転換を余儀なくされました。

2度の起業は、比較的短期間で見切りをつけ方向転換なさったように感じますが、2度の失敗で得られたことはどのように活かしていかれましたか。

旅行ビジネスの時、簡単なホームページ制作事業なんかもやっていたんですね。ですが、何でもかんでも自分で出来るわけではなかったので、基本的に外注を使っていました。そうするとコストの問題がどうしても出てきますし、コストの関係でクオリティも低くなる上に、スピード感もない。そういう問題が出てきたんですね。そこで、自分達で何かをするのであれば、外注するのではなく自分達でしっかり作れる体制を整えていって、その上でスピーディーに展開していかなければいけないというのが、この2つ目の会社の反省点だったんです。コスト・クオリティー・スピードの重要性に気付いたんですね。

それで何がいいのか考えた時に、ホームページ制作事業を拡大させて、自分達で全て構築していこうという方向性がようやく見えてきました。

それがおいくつの時ですか?

23歳の時です。まだ在学していましたね。今思うと周りからは何をやっているかよくわからない人だったでしょうね。学校は殆ど行ってなかったですし(笑)。でも、何とか卒業だけはしましたよ。
2つ目の会社から3つ目の会社は、自然な流れでした。3度目の起業の際は、ここはちゃんとやっていこうと決意も固く会社登記もして、2001年6月設立に至ります。

◆経営もスポーツも音楽も、全てが“表現活動”

いよいよ「ロックオン」の誕生ですね。素敵なご社名でが、由来をお聞かせ頂けますか。

そもそも僕が色々やってきたこと、全てやっている当時は今ほどクリアにイメージできていた訳ではないんですが、例えば飲食店やったり旅行ビジネスをやったり、前にバックパッカーやっていて、その前には歌を歌っていたりしていた時期もあったんですね。ちょっとかじって全部ダメだったんですけど(笑)、やりたいこと全部やってみてどんどん切り替えていったという経緯がありました。その中で一貫して感じていたこと、僕にとって経営とか歌とかスポーツとか全部共通していると思っていることがあるんですね。何がやりたいのかというと、あくまで表現活動だと思ってるんですよ。表現というか、世の中にいかにインパクトを与えていくのか、そのための表現の手段として歌なりスポーツなり経営なりがあると思うんです。

ですから、あくまでやりたいことっていうのは、世の中に対して表現していくこと。経営ってわかりにくいんですけど、わかりやすく言うと、例えばスポーツですね。サッカー選手でもイチローでも中田英寿でも、わかりやすいじゃないですか。僕としてはああいうことをやりたいんですよね。原点や目標は表現することにあって、僕は言ってみれば経営という形でやってますが、この経営は表現の手段ということになりますね。

究極の表現という目標に向かって行きたいという気持ちが、経営理念「Impact On the World」っていう言葉に集約されているんですね。今の組織は「Impact On the World」に向かっていく集団となるわけで、「Impact On the World」に向かう集団としてあるべき姿っていうのが、スピード感・オリジナリティ・先進性・主体性といった物の集大成だと思ったんですね。そういったものを全て持ち合わせた組織をイメージすると「ロックオン」という社名がふさわしいんじゃないかと思ったんです。

ご意見・ご感想をお待ちしています

経営者略歴

株式会社ロックオン 代表取締役社長
岩田 進氏 (Iwata Susumu) 

1977年     大阪府出身
1997年 4月  関西学院大学商学部入学
1997年 7月  大学を休学し、4ヶ月間、バックパッカーで東南アジア、北米を旅する
1998年 2月  飲食店経営
2000年 6月  旅行ビジネスで企業
2001年 6月  ロックオンを創業し、代表取締役就任
2003年 3月  関西学院大学商学部卒業

Company Data

社名 株式会社ロックオン
所在地 【大阪本社】
〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼタワー13F
TEL:06-4795-7500 FAX:06-4795-7501

【東京支社】
〒104-0061 中央区銀座6-11-4 ニックス銀座ビル3F
TEL:03-3289-5051 FAX:03-3289-5052
代表者 代表取締役社長 岩田 進
設立 2001年6月4日
業務内容 Eコマース関連ソフトウェアの企画・開発・販売
インターネット広告関連ソフトウェアの企画・開発・販売
URL http://www.lockon.co.jp/

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