語る 経営者インタビュー

2009.07.16 UPInterview Vol.109

シナゲート株式会社 代表取締役 梅原健氏

家族的な風土を目指したい (後編)

シナゲート株式会社 代表取締役 梅原健氏のインタビューをお届けします。
WEBに特化したシステム開発とWEBサイト制作を行い、今年で4期目を迎える同社。
“公私混同“当たり前の家族的な社風にしていきたいという若き経営者の声をご紹介いたします。

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さて、先ほど会社の目標についてお話いただきましたが、そういったことをオフィスに貼り出したりはされないんですか?
 
マングローブさんがやられていることを同じように出来たらいいなと思っているのですが、何分まだ小さな組織ですから、そこまではまだ必要ないかなと。社内に掲示してさえいれば盛り上がるのかというとそうではなく、一番重要なのは実践するタイミングなんじゃないかと思うのです。
 
今の状況で「日本初、世界に通用するものを作るぞ!」と横断幕を作ったところで、あまりにも唐突過ぎて、社員の心に響いて効果が上がるかというとそんなことはないような気がしています。
 
なので、今はまだ細かい施策に関しては、あまり着手できていないんです。これから社員が増えていくなかでは、実現したいことは山ほどあります。メンバーももう少し増えていったら、やりたいことだらけです。その時は今野さん、ぜひ施策についてご指導いただきたいのでよろしくお願いします。
 
分かりました、楽しみにしていますね。マングローブも今でこそ様々な取り組みをしていますが、社員が5、6名の時代に実践していたことと言えば、社員の誕生祝いくらいでしたから。やはり、実践するタイミングというのはあると思います。
 
さて、今後組織が大きくなってくれば自ずと組織の風土についても考える必要が出て来ると思います。梅原社長ご自身は、どんな社風にしていきたいとお考えですか?
 
一言でいうと、家族的な風土を目指したいと思っています。私の場合、会社組織というのは家族と同等の位置づけと考えています。よく「公私混同はするな」という言い方をしますが、私は公私混同はあって当然だと思っているくらいです。というのも、家庭で何か気になることがあれば、おそらく仕事にも影響が出ると思いますし、逆に仕事が順調でなければ家庭生活にもよくない影響が出てしまうといったことは、実際あることだと思うからです。
 
シナゲート株式会社 代表取締役 梅原健氏 インタビュー
仕事とプライベートは、切っても切れないものだということですね。
 
そのとおりです。それぞれに置かれている環境は違うけれど、お互いに常にケアする気持ちを持って仕事ができる環境にしていきたい。もちろん、踏み込みすぎてはいけない領域もあるのでしょうけれど、お互いのワークライフバランスに柔軟性を持つ姿勢は、たとえ組織が拡大したとしても守り通したいですね。
 
しかし、一人ひとりの要望を受け入れていたら、組織として機能しなくなる危険性もあるのではないですか?
 
私が考えていることは、ある意味挑戦なのかもしれません。ただ、私の場合は全く逆の発想で、個々人の事情に対して融通を利かせれば、その人はより一層お客様のため、そして会社にも貢献しようという姿勢を自然と持てるようになるんじゃないかという気がしているのです。
 
なぜ家族的風土を目指しているかというと、やはり継続して働ける環境を整えていきたいという思いがあるからです。現在のシナゲートは、20代、30代の社員で構成されている組織で、既に家庭を持っている人、それからこれから家庭を持つ人が着実に増えてきます。私も昨年結婚しましたし、ちょうど今新婚旅行に出かけている社員もいるんです。例えば、女性の場合には、どうしたって出産や子育てに向き合う時間も必要になってくるでしょうし、男性だって家族が増えれば家族との時間も必要になっていくだろうと思います。ましてや、これから親の介護をも同時に抱える人も出てくるでしょうから、個々人の状況に応じて融通させることが当たり前の状態になるような気がしています。
 
社員一人ひとりが家族であり、その家族も家族である。そういう思いでいると、やはり仕事とプライベートをきっちり分けるなんてことはできないんです。
 
良い仕事をするためにも、あえて公私混同をしていこうというわけですね。
 
そうは言っても、環境に甘んじてやるべきことをやらない、約束を守らないという場合には、躊躇せず注意し合える環境にもしなければなりません。人の心や状態を推し量りながら、いかに組織としの力を発揮し続けていけるかが課題です。また、組織規模を拡大した際にも、理想とする組織を維持できる方法を考え抜いていかなければなりません。
 
シナゲート株式会社 代表取締役 梅原健氏 インタビュー
かなり高度な経営手法になっていきそうですね。具体的に目指したい規模はイメージしているのですか?
 
具体的に数字を決めているわけではありません。ただ、もっとより良いものを提供したいと考えると、間違いなく現在の社員数では少なすぎます。現状だと、仮に誰か一人でも倒れたら、大変なことになります。そんな状況にならないためにも、まずは数十人規模までにはもっていかなくてはなりません。
 
だからと言って、大量採用には興味がありません。一歩一歩着実に、組織の状態を確認しながら、家族を増やしていくことが理想ですね。今の組織を考えると、新卒採用するのはまず難しいですし、一気に2名も採用してしまったら、たちまち面倒が見切れなくなります。自分たちが責任を持って面倒をみることができる人数を少しずつ、というのがベストだと思っています。
 
規模拡大を無理して急ぐ必要はないということですね。理想とする組織体制などがあるのでしょうか?
 
もちろん規模に応じて、体制や構造に変化を持たせなければとは思っています。ただ、役員と一般社員しかいないようなフラット型組織や横断型組織というのは、私の考え方には合わないとは思っています。
 
与えられたポジションがあるからこそ人は前向きに仕事ができる、例えば一つ上のポジションに就くにはこの能力、技術が不足しているから勉強するというモチベーションにもなる。ですから、縦割り組織の弊害と言われることもありますが、真っ向から否定するつもりはないんです。まだまだ私自身が組織について勉強中ですので、これからは組織人事のプロである今野さんからも学ばせていただこうと目論んでいます(笑)。
 
確かに、フラット型組織がもてはやされた時期がありましたね。しかし、ポジションに段階がないと、先輩が後輩に教え、上司が部下に教えるといったことが仕組み化されていかないでしょうね。やはり人は育つ環境でないと、長く働く上では難しいと思いますから、梅原さんのお考えも理解できますよ。
 
人が長く働ける環境についてなんですが、先ほどお話しました融通を利かせるということの他に、ポジションに対する考え方も重要になると私は考えています。
 
人の考え方というのは、時の流れとともに変化することがあります。例えば、ある業務が非常に好きで入社したにもかかわらず、途中でその業務に興味を持てなくなる人だっているはずです。そうなってしまった人を組織から排除するのではなく、ポジションに選択肢を与えることが大事だと思うのです。
 
技術職の人でも、新しい技術やデザインを学び、常に最先端の仕事をしたいという人もいれば、一般的なコーポレイトサイトのように、ある程度枠組みが決められたなかで品質を維持できる技術さえあれば満足だという人もいます。全員がキャリアアップを求めているとは限らないですし、キャリアアップすることも強要する必要もないのです。
 
組織にいるからには、組織の頂点に向かって進むべきだという風潮が業界にあるのですが、私の感覚には合わないんですね。前職時代もそうでしたが、技術職の人は、将来は技術のスペシャリストを目指すか、もしくはマネジャーになって部下を持ちながら売上げを管理するか、そのどちらかしか選択肢がありませんでした。でも、その中間があってもいいじゃないですか?部下が数名いて、ずば抜けた技術力はないけれど、技術の指導力には常に定評がある。そうであれば、その人の能力を最大限に活かせるポジションがあっていいと思うのです。
 
組織に多様性がないということですね。
 
そういうことですね、決まりきったパターンしかないところが多い。新しいスタイルを作るには、試行錯誤を繰り返すしか方法はないでしょうね。今野さんの前だから言うわけではありませんが、ポジションに様々なパターンがあっていいとは思うのですが、大切なのは企業として何を目指しているのかを示す企業理念が軸にあること。そして、その企業理念が社員に浸透していなければ強い組織にはならないんだということは肝に銘じています。
 
御社のサイトには、企業理念と行動指針として9つの項目が挙げられていましたね。
 
正直言いますと、まだ曖昧な部分もありまして(笑)。自社サイトを制作する際に一生懸命考えたのですが、あれこれ考えだけは浮かぶのですが、しっくりする表現がまだ見つからない状況です。会社設立当初から理念や行動指針が明確になっている企業はそれほど多くはないんじゃないかと思っていまして。
 
梅原社長のおっしゃる通りです。設立当初は事業を軌道に乗せることに集中しますし、全員がそこにエネルギーを注いでいるので企業理念がなくてもさほど問題は生じないのです。必要となってくるのは、事業もそれなりに軌道に乗り始め、成長局面を迎える時なんです。つまり、組織を運営していくなかで徐々に作られていくものだと考えています。始めから、ビシッとしたものが打ち出せるかといったらそういうわけではないはずです。
 
大きな課題だと思っているのが、行動指針などもあえて話す機会を設けてもいなんですね。それは、「普段仕事の中で実践していることだから、あえて言葉で伝えなくても分かるだろう」的な考えになってしまっているからなんです。人数が少ないから言わなくていいというわけではないですよね。シナゲートとして何を大事にしているか、を共有するのに規模は全く関係のないことです。むしろ、小規模のうちから伝えないといけないのかもしれませんよね。
 
私もそう思いますよ。それにしても、目指したい組織の在り方を日々イメージし、実現方法をじっくりと考えていらっしゃいますね。シナゲートさんの組織作りに注目していきたいですね。
 
さて、これまで経営者としての梅原さんに触れてきたのですが、次は個人的な話題にうつさせていただきます。個人的な将来の夢は何でしょうか?
 
経営者としての夢にも被るのですが、家族を増やしていきたいということですね。自分の家族もそうですが、組織として同じ意志を持った人たちが気持ちよく働きながら、少しでもその輪を広げられるようにしていきたい。
 
私にとって、きっと組織作りをしているのが一番楽しい時間なんですよ。仕事を終えて帰宅しても、妻との会話には当たり前のように仕事の話が出てきますし、旅行中なども仕事に繋がりそうなことを発見すると、「今度はこれをやってみよう、あれに挑戦してみよう」と思いで頭がいっぱいになります。その中で、自分自身の技術者、コンサルタントとしてのステップも自分の中で描いていますし、経営者としての理想の姿も描いています。
 
組織を拡大し、シナゲート一家のメンバーを増やすことが大目標です。その過程で、日本のIT産業の発展の一翼を担う存在に成長していきたいですね。
 
経営者としての夢と梅原さん個人の夢が重なるんですね。個人的に最近興味を持っていることがありましたら、教えてください。
 
妻に勧められて始めたのですが、ベランダビオトープに嵌まっています。ビオトープとは、簡単に言うと、水を適宜補給するだけで小生態系の動植物が生息する事が出来る園芸・飼育システムです。
 
今はベランダに大きな鉢が3つありまして、そこにそれぞれ植物を植え、メダカやエビを放しています。ケアが非常に簡単で、水が減ったときに水を継ぎ足すだけというもの。3つの鉢にそれぞれにテーマを決め、この鉢には流木と石を積んで、こういう風景を作ろうとか、背の高い、それぞれまちまちの高さの草を植えて庭園風にしようとか、アイデアが次々に湧いてきます。
 
               (「ビオトープ」です。実物の写真を送っていただきました)         
シナゲート株式会社 代表取締役 梅原健氏 インタビュー
ベランダビオトープの何が面白いかと言うと、植物の成長によって鉢の中の風景が日々変化し、しかも植物は自然に任せて無秩序に伸びていくので、決して自分の思い通りの風景にはならない。でも、それが楽しいんですよ。
 
冬の時期は、何も手を加えることなく、そのまま置いておくのが自然なのです。草は枯れ果てて、どことなく寂しい風景になりますが、春先にはなると勢いよく伸び始めます。そして5、6月となると、もう青々とした様子がとても眩しくなります。さらに、その鉢が去年とはまた違った風景を見せてくれます。そんな鉢の風景をつまみに、ビールを飲むのが至福の時ですね。話していて気付いたのですが、結構地味な趣味ですよね(笑)。
 
いやいや。これまで多くの経営者の方からお話を伺ってきましたが、ビオトープを趣味にされている方は私にとって梅原社長が初めてですよ。
 
そうですか、今野さんもぜひいかがでしょうか。ビオトープはひとつの生態系を作るものですから、実は組織作りに通ずるところがあるんですよ。
 
なるほど、本当ですね。結局はすべて組織作りに結びついてしまいましたね。今日は本当にありがとうございました。これからさらにご活躍の場を広げていかれることを応援しております。

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経営者略歴

シナゲート株式会社 代表取締役
梅原健氏 (Ken Umehara) 

1977年沖縄県生まれ。
専修大学商学部商業学科卒。

大学卒業後、独立系中堅SI、1年間のフリーランス期間を経て、
2006年5月、シナゲート株式会社を設立。

Company Data

社名 シナゲート株式会社
所在地 〒101-0031
東京都千代田区東神田3-6-6 メビュウス高島 2F
代表者 代表取締役 梅原 健
設立 2006年5月1日
業務内容 Webシステム開発・Webサイト制作事業
システム要件定義・設計・開発
コンサルティング・プランニング
Webサイト分析
SEO・SEM
Webコンテンツ制作
Webサイトマネジメント
Webアプリケーション開発
サーバ管理
サポート業務
URL http://www.synergate.co.jp/

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