語る 経営者インタビュー

2009.07.23 UPInterview Vol.110

株式会社ネットマン 代表取締役社長 永谷研一氏

人が出会い学び合う場を次々に創造していきたい 、元気で愉快な日本を取り戻すために。 (前編)

株式会社ネットマン 代表取締役社長 永谷研一氏のインタビューをお届けいたします。
同社は、ITを活用し人や組織が成長する環境づくりを提供すると同時に、オトナたちの学びの場「知恵組」の運営も手掛けています。
それぞれの立場や時間、場所に拘らずに仕事ができるネットワーカーで構成されるプロジェクトを作り出し、ITを活用しビジネスを推進するのがネットマン・スタイル。ネットマンが手掛ける商品、仕掛けるサービスは、企業や置かれた環境を超えた人たちの思いや知恵がぶつかり合って産み出されたものなのです。

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早速ですが、御社のHPを拝見していまして、個人的に学習コミュニティの『知恵組』に惹かれました。「カッコいい大人たちが出逢う『場』をつなぐネットワーク」というコピーも非常に気になりまして、今日お会いするのを楽しみにやってまいりました。
 
ありがとうございます。私たちは出逢いの場のことを“コミュニティ”と呼んでいまして、コミュニティの発起人を“コミュニティオーナー“と呼ぶことにしています。
 
今野さんも「MG-NET+」というサイトを通じて、経営者のコミュニティを作られていらっしゃるとお聞きしました。ベンチャー・中小企業を組織力向上という側面から支援したいというテーマがあって、経営者の方々へ情報発信をしたり、交流会を実施されていらっしゃいますから、今野さんも既にコミュニティオーナーですよ。
 
世の中には、ごく普通のビジネスマンで、強い使命感から自らコミュニティを形成している方々もいらっしゃいます。
 
知恵組』というのは、そういった方々から生まれる「学び」と「気づき」の場を、「学習コミュニティ」として活性させ、さらに多くの学びを生み出す「場」として発展させていきたいですね。
 
『知恵組』の中にはいくつものコミュニティがありますね。
 
言ってみれば、大人版学習サークルのテーマパークのようなものです(笑)現在は約20のコミュニティがありますが、これから着実に増えていく予定です。そこからビジネスに発展するようなプロジェクトが数多く生まれてほしいと願っています。
 
コミュニティについて少しご紹介します。『ケータイ活用教育委員会』は携帯電話を授業に取り入れながら新しい授業法を見出していく先生方によるコミュニティ。『ウエルネス研究会』は、元看護師の女性がオーナーで、現職の看護師が医療現場でキラキラ輝き続けながら仕事をしてもらいたいという夢のため、執筆活動の傍ら、看護師を招いての講習会などを開催しているんです。それから、『はたらくパパ コミュニティ』は、男性が「仕事と育児を楽しむための方法」を気軽に研究する会。すべてのコミュニティについて触れたいくらいですが、話始めたら1日では終わらないと思いますから、このあたりで止めておきます(笑)。
 
すべてのコミュニティの発起人、そしてコミュニティ参加者に共通しているのが、成し遂げたいことを明確に意識していて、実行している人たちだということです。自分でネットワークを作るのは敷居が高いけれど、目の前に興味があるコミュニティがあり、一歩踏み出す勇気さえあれば誰でも参加できる気軽な学習コミュニティにしていきたいですね。そして、それぞれの学習コミュニティに参加する人同士をネットワークしていくことに加え、学習コミュニティ同士もネットワークし、人が出会い学び合う場を次々に創造していきたいと思っています。

株式会社ネットマン 代表取締役社長 永谷研一氏
永谷さんの、人と人を繋げていこうというその原動力はどこからくるのでしょうか?
 
自分の中に「学びたい」、「成長したい」、「貢献したい」というエネルギーがあって、それらが原動力になっていると思います。
 
そのエネルギーを発散するには、色々な人と出会い、お互いの価値感をぶつけ合って、現状をもっと良くするために知恵を出し合いたい。
 
「学ぶ」ことは、とても楽しいものですよね。ビジネスマンにとって、会社の中だけが成長する場ではないと私は考えます。当たり前のことですが、日々同じ組織の中にいると、同じような発想、同じような価値観とだけのぶつかり合いになってしまいます。いつも同じような人とだけ話していたら、発想力が乏しくなっていくような気がします。一歩外に出て、自分と違う環境の人と出会い、刺激しあって、大いなる気づきを得ることにもつながる。そしてそれが人の喜びにもなるんじゃないかという思いで、人と人を繋げる活動を続けているんだと思います。
 
株式会社ネットマン 代表取締役社長 永谷研一氏
(「知恵組」各コミュニティのボックス。オフィスを入るとすぐ目の前に)

一方で、IT商品の開発、販売事業も手掛けていらっしゃいますが。
 
ネットマンの事業の根幹となるのはIT開発、販売事業で、『知恵組』は生まれたばかりのプロジェクトです。ただこれまでも『知恵組』的なことは行っていました。
 
創業当時はITなら何でもやるというスタンスでいたのですが、ある時点から“教育業界“に特化したIT商品開発に絞ることを決意し、事業の方向転換を図りました。しかし、私たちは教育のプロではない。そうなると、必然的にプロの力が必要になる。そこで外部の専門家ネットワークの方に様々な意見やアドバイスを頂くようになりました。お金儲けではなく、純粋に教育現場をもっと改善したいという方がいらして、そういった方々がまた知り合いの方を紹介して下さったことで、どんどん人の輪が拡大していきました。そのあたりから、ネットマンは、ソフトウェア屋、技術者のネットワーカーから、教育業界のネットワーカーという顔に変わっていきました。
 
そして現在は、人材育成の場に役立つツールを開発し、提供しています。研修の事前調査や意見収集に最適なアンケートシステム『きくすけ』、研修の受付から資料やレポートを一元管理ができるシステム『Cラーニング』、そして研修実施後のフィードバックを促進し、目標達成を支援する行動定着システム『Action T.C.』という商品は、すべて人の成長を支援する裏方的なもので、あくまでもツールです。一方で、学びの場を生み出すのは人でしかない。その学びの場を通じて、人は気づき、新しい自分へ少しずつ成長していく
 
なるほど。ITによって教育現場を支え、一方で「学び」のリアルの場を提供、それが『知恵組』なんだということですね。
 
そうですね。大阪府立のとある高校で、トライアルで携帯電話を活用した特別授業を実施させていただきましたが、これは『知恵組』のコミュニティのひとつである『ケータイ活用教育委員会』が弊社の商品『C-Learning』を活用して企画したプロジェクトです。この授業から、ある興味深い結果を得ることができました。
 
学校に携帯電話を持ち込み禁止にしている学校も多いと聞きますが、そんな中で授業に携帯電話を活用することができるとは。
 
今まで府立校では、携帯電話の学校への持ち込みは原則的に禁止していました。おそらく日本全国の高校も同様の対応しているところが多いと思います。ただ、授業で携帯電話を使う時間は、始めの6分間程度なんです。しかし、たったそれたけの時間でも携帯電話を活用するだけで、その後の場の雰囲気が見事に変わるんですよ。
 
株式会社ネットマン 代表取締役社長 永谷研一氏
どのように携帯電話を活用するのですか?
 
何をするかというと、先生が投げかける質問に対して、生徒が自分の携帯電話から意見を送るというものです。その出された意見を全員で共有し、その場でフィードバックするのです。そして、どんな意見に対しても、先生はまずは「これもいい意見だね」と一旦受け止めてから返答する。そうすると、普段は恥ずかしさから挙手できないような生徒でも、携帯電話を活用すれば、きちんと自分の意見を伝えることができるようになります。
 
人前では難しいけれど、なぜ携帯電話を通じてなら意見を言えるのか?それはきっと、携帯電話は“個人“そのものだからだと思うのです。生徒は教室に足を踏み入れた瞬間から、公的な立場の人になってしまう。そうすると、「こんなことを言ったら恥ずかしい」と、自分の思っていることをすべて話せなくなってしまう。でも、一人ひとりは必ず意見を持っている。今の世の中で、唯一自分を取り戻せるのが携帯電話なんじゃないかと思うのです。
 
なるほど。
 
先ほどの話に戻りますが、授業の冒頭で携帯電話を活用し、その後グループ学習へと進みます。全員が意見を出し、たとえ自分と反対意見があったとしても、先生が先にそれを受け止めたことで、反対意見をも認めるようになる。反対意見を言った生徒も認めることができ、お互いの意見を尊重するようになる。その瞬間に教室という場が、信頼と安全の場に変わるんです。信頼の場に変わった瞬間に、いろいろなアイデアが生まれていきます。そうすると、自分に自信が持てるようになっていく。自分に自信ができたら、最後は簡単です。後は公共につながっていこうとしますから、他にも面白いことがあるのではないかと、外につながっていくということになると思うのです。
 
まず人と繋がるために必要なのは自己開示なんですよね。自己開示があって、初めて人から認められることになるんです。
 
なるほど、 “信頼と安全の場“ですか。それはとても良い言葉ですね。
永谷社長のおっしゃる通りかもしれないですね。携帯電話というツールを活用して自己開示しやすくするということですね。
 
そうなんですよ。そして、お互いを受け入れた瞬間に知恵が生まれます。自分だけでは必ず限界がある、でも他人の意見に耳を傾け、受けとめ、それによって新しい知恵が生み出されていく。結局人は人と繋がることによって、自分の価値を見出していくものだと思うのです。
 
知恵”というものは自分の頭と相手の頭の中にあるものではなく、人と人との間にあるもので、人同士が様々なコミュニケーションを通じて探し当てるものだと思っています。だから、『知恵組』なのです。“組”、つまり“組合せ”なのです。個があるからチームがある。個があるからこそ組織がある。そして個と個が結び合ってプロジェクトを起こす。そこにこそ、私の働く原動力があるような気がしています。

株式会社ネットマン 代表取締役社長 永谷研一氏
かなり奥が深いですね。しかし、知恵を出し合う大前提には、自分の価値を認めるということも重要になってきますね。
 
確かに自分が何者であるかを認めることは必要だと思います。いきなり何者か分かっていない人と「私と一緒に何かを始めませんか」と言われても、言われた方は何をどうしていいか分かりませんよね。例えば、「●●会社の●部に所属していて・・・、こんな業務で困っていまして」とか、「こんなことを目指しています」とか、何かその人のことがはっきりと分かる“箱“は必要だと思います。だから、何か箱があって、そこのなかにいる自分を自己開示することで、どんどん他の人と繋がっていくような気がしています。
 
永谷さんのお話を伺っていますと、不思議とワクワクした気持ちになります。『知恵組』を通じて、どんな夢に向かっておられるのですか?
 
先ほど『知恵組』は大人版学習サークルのテーマパークだと言いましたが、大きなプロジェクトとしてさらに進化させていきたいという思いが強くなったのは、自分の子どもたちを含めて、これからこの情報化社会を支えていく今のこどもたちに今を生きる大人たちが“良い手本“を示さなければならないと思うようになったからです。子供に前向きに挑戦しようという気持ちにさせるには、まずは大人が真剣に、しかも楽しんで学んでいる姿からを見せることが大切なんじゃないかと思うのです。
 
要は大人の生き様を見せるってことですかね?
 
そうです、そうです。私の幼い頃は地域コミュニティに活気がありました。何かいけないことをしていると、近所のおじさんだろうと知らない人だろうと、容赦なく頭をポカンと叩かれ、「そんなことしちゃダメだろ!」と愛情を持って叱ってくれました。社会人駆け出しの頃には、少し落ち込んでいるだけで、「彼女に振られたんだろう」と飲みに誘ってくれるような、なかなか出世しない、だけど部下からの信頼が厚い上司もいました(笑)。
 
そんな愛情ある大人たちの下で人が育つことができれば、激化する世界競争にも打ち勝つ日本を作れるんじゃないのだろうかと真剣に私は考えているのです。
 
確かに、しっかりした哲学を持った大人たちが身近にいましたね。
 
普通であってもカッコいい大人という人はたくさんいるはずなんです。その人たちが手と手を取りあったら、きっととんでもない発想が生まれるでしょう。全員が揃って世界のイチローを目指す必要はないんです。究極のヒーローではなく、普通の人が普通に学び、お互いに刺激し合えるような環境さえあれば、必ず元気で愉快な日本が取り戻せるはずだと確信しています。
 
永谷社長が提案しているのは、会社や家庭を第1、第2の場として考えると、第3の場としての”箱“ということになりますね。
 
そうですね。もちろん毎日の業務終了後、なるべく早く帰宅して家族と過ごすことも大事です。ただ、週に1回、2週間に1回でも、勉強する場に顔を出し、新しい人たちと出会い、自分のありたい姿を口に出してみる。そうして、相手からのフィードバックによって、自分をさらに成長させてみたいという欲求は誰しも持っていると思いますから、その純粋な気持ちをぶつけ合える環境をたくさん作りたいんです。
 
大手研修会社が提供しているようなセミナーなどもありますが、そうではなく、ごく普通の人が普通にやっている勉強会を目指しています。そして、知恵組の中のコミュニティのひとつに参加し、他への興味もある場合などは、他のコミュニティを紹介してスライドしていけるような環境にまで整えられたらベストですね。

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経営者略歴

株式会社ネットマン 代表取締役社長
永谷研一氏 (Kenichi Nagaya) 

大学卒業後、メーカーの品質保証業務に2 年携わった後、SI会社に転職、基幹システムのエンジニアとして9 年間主に生産管理システムや営業支援システムを構築を担当。
1999年4月に、ネットマン(Network-er Management Company)を設立。

Company Data

社名 株式会社ネットマン
所在地 【本社】
〒104-0032 東京都中央区八丁堀2-2-4 第6高輪ビル
TEL (03) 3523-5100  FAX (03) 3523-5200

【R&Dセンター】
静岡県駿東郡長泉町
代表者 代表取締役社長 永谷研一
設立 1999年4月2日
業務内容 コンサルティング
研修・セミナー
IT商品の企画・開発・販売
URL http://www.netman.co.jp/

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