株式会社マングローブ
 
語る
株式会社 綱八
志村 久弥氏
【後編】

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経営者に学ぶ

(4)『新しいものを生み出していく』
のれんのある企業でも「チャレンジ精神」は経営に不可欠。しかし、それは社員の刺激となりお客様の満足に繋がる。             
(5)『社員の成長は自分の責任』
社員が自らの将来ビジョンを描くことは、社員自身の成長を後押しする。その機会を与えることは、会社だけでなく経営者の役割でもある。
(6)『個の魅力が企業の魅力』
社員がいてこその会社。ゆえに、社員と会社とは一体のもの。社員の持つ個性を引き出すこと、輝きを与えることは、企業が成長するためには不可欠です。
鬼才異彩

株式会社綱八
本社:〒164-0012 東京都中野区本町6-16-1
創業:1924年10月18日
事業内容:天ぷら、刺身中心の飲食店経営
HP:http://www.tunahachi.co.jp/index.html
 



創業以来受け継がれている社是の話がありましたが、そもそも、どのようなきっかけで『天ぷら つな八』は始まったのですか?

実は、もともと家は魚屋だったんですよ。しかし、創業者である祖父は次男坊だったので、家業を継ぐことは出来ずに、天ぷら屋を始めたんです。その後、父親が継ぎ、5年前から三代目として私が継いでいます。
 
いざ、先代から継ぐときはどのような想いでしたか?

大学を卒業してすぐに入社したのですが、入社して間もない頃に、当時社長だった父親が倒れたんです。そのことがあってからというもの、専務という肩書きで社長の代わりをしていましたので、「いずれは社長になるんだ」という想いは持っていました。本当に大変でしたが、その時は無我夢中でやらざるを得なかったですね。右も左も分からない中、ずいぶんと周囲の人に支え助けられ、本当にありがたい気持ちでいっぱいでした。

新しいものを生み出していく

後継者として、先代から守り続けているものがあるかと思いますが、詳しくお話頂けますか?

天ぷらというものは、伝統的な部分が強いので、そこはしっかりと受け継ぎ、伝えていかなくてはならないと思っています。しかし、その一方で、時代の流れと共にお客様のニーズも変化していて、自分なりに対応していかなくてはならないとも感じています。というのも、天ぷら屋というのは、どの店にも定番の『海老の天ぷら』があって、『かきあげ』 があるというように、ひとつの型が出来上がってしまっているんですよね。しかし、それではお客様は飽きてしまう。それを防ぐためには、常に新しいものを取り入れ生み出していく努力をしなければならないと思うんです。例えば、変わった食材を使った天ぷらの代表例として『アイスクリームの天ぷら』がありますが、実は綱八が元祖なんです。そういった綱八のチャレンジ精神を大切に受け継いでいこうと昨年は創業80周年記念のメニューも作りました。こういったようにオリジナルの天ぷらを開発することで、「綱八には、他の天ぷら屋では食べられないメニューがある」と思って頂けるようになるんです。『チャレンジ精神』は経営戦略には不可欠であり、しかも、働く社員にとっては、常に商品開発をしたり新しい商品を揚げることがやる気にも繋がってくると、私は想うんです。新しいものを作ることは、お客様と社員の両方にいい影響を与えてくれています。

『天ぷら』が、今後こうなったらいいなと思い描かれていることはありますか?

天ぷら』を文化としてとらえ、『天ぷらは日本の食文化だ』ということを大々的に広めていきたいですね。これは、天ぷら業界における綱八の使命なのではないかとも思っています。例えば、外国人観光客へのPRが考えられます。海外へ行くとその国の料理を食べてみたいと思いますよね。一方、日本の代表的な料理として『寿司、天ぷら、すき焼き』があるわけです。しかし現状は、天ぷら業界にしても、綱八にしてもPRがうまくできていないんですよね。少しでも、外国人観光客へPRしていくことによって、日本の文化が広がるのではないかと思います。また、PRすることで、将来綱八が海外出店をするときに必要な外国人のお客様の食べ方、嗜好を知る絶好の機会になり、更には、日本人への『天ぷら文化』をアピールする機会にもなるのではないかと思っています。

外国へ『天ぷら』を広めるために勉強されていることはありますか?

ヨーロッパへ視察旅行に行きたいと思っているんです。というのも、天ぷらのルーツは、スペイン、ポルトガルといった南蛮渡来なので、しっかり見ておきたいんです。また、スローフードにも興味があり、スローフードのルーツもヨーロッパなんです。スローフードの、素材そのものを活かした調理方法や、食事をするひとときを大切にするという考え方にはとても共感しているんです。つな八は、ランチやディナーなどの時間帯はとても慌しいので、理想としては、食に対するこだわりやおもてなし、お客様との対話を大切にし、お客様が食事をするひとときを楽しめる店にしたいと思っているんです。こういったことが付加価値になるとも思いますし。また、お寿司屋さんもそうですが、カウンターでの板前さんとのコミュニケーションを求めているお客さんは多く、カウンターというひとつの舞台でのちょっとした会話で癒されていると思うんです。これもスローフードですよね。「ただ天ぷらを揚げるだけじゃなく、お客様との空間作りや、素材にこだわることも使命なんだよ」ということを社員にも根付かせていければと思っています。
 
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