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株式会社 東京乳母車
横田 建文氏
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後編 Page
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経営者略歴
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株式会社 東京乳母車
本 社:東京都調布市小島町1-5-3
設 立:1994年4月
事業内容:ベビーカーの製造販売
U R L:
http://www.babycar.co.jp
前回に引き続き、後編として株式会社東京乳母車の横田建文社長のインタビューをお届けします。
今回は横田社長が考える「プスプス」の本当のねらいやものづくりに対する思いを語っていただきました。
社長が今後「こうしたい」と思っていることはありますか?
単純にものを売っていくということだけではなく、子育てのライフスタイルを変えていきたいんです。赤ちゃんをモノとして運ぶのであれば、折りたたみ式ベビーカーで十分なんでしょうが、この乳母車はそうではないんです。 例えば、家の中におけば、赤ちゃんがぐずっている時に寝かしつけてやる道具としても使えるわけです。また、経験のある方はお分かりと思いますが、お母さんが一人で子供をお風呂に入れる時、お母さんは自分の体や頭をなかなか洗えないんです。しかし、この乳母車をお風呂場の前に置いておいて、先に赤ちゃんを洗ってバスタオルに包んでこの中に入れておけば5分から10分くらいは機嫌よく中で遊んでいるんですね、湯上りで気持ちいいから。その間にお母さんは自分のことができるんです。わずか10分かもしれないけど、それが出来るか出来ないかは大変な違いです。そういう細かいノウハウがたくさんあって「プスプス」を使うことで、あらゆる面で育児の負担が激減します。負担が激減すると、「なんだ、子育てって思っていたほど大変ではないじゃないか。これなら二人目がいてもいいな」と自然に思うようになるわけです。夜の時間も増えますし(笑)。
「プスプス」を開発し、販売するということの本当の狙いは何ですか?
「プスプス」で育児をすれば、母親の負担が減る、育児はとても楽しいと感じてもらえる、そして夫婦のゆったりした時間を作り出せるということを伝えたいです。少子化対策について、お役人が会議を開いて、育児休暇制度がああだとか託児所がこうだとかいったってダメなんです。人間性を無視した議論に基づいた対策を上から押し付けても人の心は動きません。早い話、「100万円あげるから子供産みなさい」と言ったって誰も産まないでしょ。そこにはハートがないんです。人間は何を幸せと感じるかという部分をまず見極めなくっちゃ。極端かもしれませんが、先進国の大都会の高級マンションに住み、しかしストレスに追い詰められて幼児虐待に走る家族の幸福度と、木と葉っぱでできた小屋に住んで、大自然の中でたくさんの元気な子供たちと暮らす家族の幸福度を比較したら、幸福の実感がまるで違うと思うんです。高級マンションの生活より葉っぱの家の生活のほうが幸せだということがあり得ます。我々は皆、今さら野生に近い状態には戻れませんけど、せめてそういう人間の本能の一番大事なところ、親がいて、子供がいて、楽しい家庭を作るという本能を満たす暮らしを取り戻したいはずです。そういう生活実現のお手伝いをしたいわけです。乳母車一台でどこまで出来るかわかりませんが、それが「プスプス」を開発した本当のねらいですよね。
最近、ユーザーから「プスプス」を子育てとは違った使い方をしたいという要望が届いていると聞いていますが?
実は、今年「ペットキャリー」というものを出します。 3年ぐらい前からうちの乳母車を見て「ペット用に使いたい」という問い合わせが非常に増えてきたんです。最初はそういう声を聞いて、正直うれしくはなかったです。今までお話したように「赤ちゃんにとって最高の乗り物を作りたい」という思いで作ったものですから、できれば犬は乗せてほしくないなと。でも、どうしても使いたいと言って買っていく方がどんどん増えてきたんです。で、いろいろ調べてみましたら少子・高齢化と微妙に関連したところから、そういうトレンドが出てきているらしいと分かってきました。子供がいない、あるいはいても一人だけ、子供が一人立ちしてしまった・・・、そうすると愛情を注ぐ対象がなくなる。だからペットにそれを求めるという傾向が、どうもあるようなんです。その結果、ペットに対する愛情のかけ方が本当に人間に対するものと同じになってきています。ならば、そういうニーズに答えることも人間の幸福感を増す商品なのではないかと思うようになりました。
今後、更に開発しようと考えている新製品はあるんですか?
ベビー用品とペット用品の両方を開発して行きたいと考えています。今、開発に関しては、自転車デザイナーとして有名な谷 信雪さんと組んでいます。彼は人力で走る二輪車を作っている、私は手で押す四輪の乳母車を作っている。なんとなく接点がありそうだということでお近づきになりました。お互いに開発の苦労談などをしていると話が非常に合うんです。で、我々の原点はどこにあるのだろうかと考えてみたら、エンジンを使わず、人間の生身の体で動かす装置という点で共通している。そして、その使い心地、感性、ハートの部分を大事にしようという気持ちが一緒なんです。使い心地とか暖かさとか軽快感とかそういうものをひっくるめた「感性の商品開発」ということですね。そういう人間の皮膚感覚で勝負できる商品はまだまだいっぱいあるだろうと思うんです。そういう方向に発展していけば私の発明の才能も、谷氏のセンスも生かせるはずです。そして、それが世の中に受け入れられればうれしいですね。
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