株式会社マングローブ
 
語る
クローバーランド株式会社
代表取締役 松井時弘氏


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ところで、入社後は順調でしたか?

はじめの3ヶ月間は挫折、挫折、そして挫折。本当に挫折の連続でした。最初に驚いたのは、就職先の条件として挙げていたことがことごとく打ち砕かれたこと。当時、あるはずの社宅は無いは、研修や資格制度も全く整備されていないという状態でした。 ただ一番落胆したのは、配属先が全く希望もしていない営業部になってしまったことでした。建築設計や都市開発、地域開発のような仕事をしたいと思っていたのに、いきなり営業部と言われショックでした。

気落ちしている私に社長は「松井君はいったい何を目指しているのか?良い設計をしたい、素晴らしい建物を造りたいと言うけれど、何を基準に良いものかどうかを判断するのか?一般のお客様のニーズが分からずして、いいものって何か。消費者のニーズを一番把握できるのは営業職。それを経験せずして、君にはどんないいものを造れる自信があるのか?」と言われたのです。この言葉にはぐうの音も出ませんでしたね、全く社長の言う通りでしたから。

実際営業部で働かれていかがでしたか?

もちろん始めは嫌でしたよ。そもそも、私が持つ営業マンのイメージがあまりにも悪いものでした。うまい言葉を使ってこちらが有利になるように話を進め、消費者が買いたくないものまで無理矢理買わせるのが営業マンの仕事だと思っていたからです。元来正義感の強い人間なので、どこまで自分との折り合いをつけられるかという不安もありましたが、社長が言うことももっともでしたので、徐々にやるしかないという気持ちになりました。

その後は、他の部署でも経験をされたのですか?

営業を3年ほど経験した後、会社がM&Aをした企業に1年半程出向し、企画から用地仕入れ、近隣交渉業務などに携わることができました。そして地方展開に力を入れていた時期に、福岡営業所に所長として28歳で赴任しました。福岡では、知らない土地で現地採用の人たちと共にゼロから積み上げていく大変さがありましたが、所長としての決断力も学び、経営者として必要な素晴らしい経験をたくさんさせて頂きました。が、残念なことに組織再編のため本社へと戻ることになってしまいました。

その時、実は独立することも考えましたが、それでは今までお世話になった会社に対して申し訳なく思い、本社に戻ることにしました。今でも機会があれば福岡へ出向き、昔の仲間達と懐かしいひとときを過ごしたりしています。

15年間を通じて、不動産にかかわるすべての職種をご経験されたということですね。

それぞれ広く浅くではありますが、様々な仕事をさせて頂いたことが現在の仕事にも活きています。そのなかでも、営業の経験がすべての原点になっていると思います。

入社当初は嫌だと思っていた営業職がすべての原点になっていると?

はい。そう感じたのは、前職で近隣交渉を担当したときですね。社内では猫の手も借りたいほど忙しい時期で、全く経験もない私にまで「近隣交渉の現場を担当しろ」というほどでした。早速出向いていくと新聞沙汰になるほど近隣の方ともめていた案件だということを知り、少々驚きました(笑)
最終的には、事は丸くおさまったのですが、そこに至るまでの過程は営業での経験が活きたなあと実感したものでもありました。

具体的には、どのような方法で近隣の方との問題を解決されたのですか?

事の発端は、マンション建設を巡ってのものでした。これに対し近隣の方は猛反対だったんです。

ここで強引に推し進めるのは近隣の方の怒りを増長させるだけだと思い、私は一軒一軒訪ね歩き、話を聞くところからはじめました。何度も何度も足を運び、どうにか本心を聞きだそうと必死になっていました。

何回か通わせて頂くうちに、ある日近隣住人の方がポロッと本音を語られたのです。「マンションではなく、戸建であれば反対しない。あなたの会社の土地だから本来は何を造ってもいいが、この町の景観を壊してほしくない。この町並みに合うような建物だったら受け入れられる。その気持ちを理解してくれるなら建てることに反対はしない」と。

そこで、マンションではなく戸建で計画し直してみると、何とか収支も合う。当初よりは2,3割の利益減になるものの、このままズルズルとさせておくよりはいいのではないかと思い、すぐに社長に掛け合いました。

何とかその案を承認して頂き、最終的にはご近隣の方々から「後は松井さんに任せたよ」とまで言って頂けるかたちになりました。

営業いうのは、相手の要望をどれほど汲み取り、満足させてあげられるかだと考えています。相手との良い関係がどれぐらい作られているかが重要なんです。同じ商品でも、あの人が持ってきた商品は信用するけど、この人が持ってきたものは受け入れられないという状況は必ずあると思うのです。それはすべて信頼関係があるかどうかにかかってくる。さらに言うと、その関係をつくりあげるまでのプロセスが最大のキーになると思います。そのプロセスを営業職時代に幾度も経験させて頂いたからこそ、様々な局面を乗り越えられたと感じています。              


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