株式会社マングローブ
 
語る
株式会社大漁
代表取締役 佐々木豊氏


  インタビュー  前編 Page 1/2
            後編 Page 1/2
  経営者略歴
  Company Data
 
 

  鬼才異彩バックナンバー







鬼才異彩

株式会社大漁
 所 在 地:東京都墨田区向島2-10-4
       TEL:03-3621-2929
 事業内容:ふぐ・いけす料理店経営
 U R L:http://www.mukoujima-tairyo.com
 
前回に引き続き、株式会社大漁の佐々木豊社長のインタビューをお届けします。
後編ではフグを扱う修行を積んだ後自分の店を持ち、日々お客様に喜んで頂けるために心掛けていることなどをお話いただきました。


五島列島で漁師をご経験された後は、どうされたのですか?

1ヶ月半ほどして10月に入ったので、いよいよ下関のフグ加工工場で働かせてもらえるようになった。25歳の時だったね。

工場勤務もなかなか面白くて、夜中1時に起床して朝8時まで働き、少し休憩を入れて昼1時から4時まで働くような生活だった。包丁を手に、獲れたフグを右から左に下ろしていくんだ。とは言っても、フグには毒があるから常に神経を研ぎ澄ませていないといけないから、決して楽な仕事ではなかったよ。毎日10時間、フグと顔を見合わせる生活だった。

そこでも、とても大事なことを教わったんだよね。それは、フグのオスとメスを瞬時に見極める技。漁から帰ってくる船には、オスとメスが大量に入り混じっている。下ろす前には、オス・メスを選別しなければならないんだよ。オスには白子、メスには卵巣があって、白子というのは、値段がフグの3倍にもなる。1キロが1万円だとすると、白子は3万円もするほど高価なもので、触って指先にあたる感覚で白子か卵巣かを判別するわけなんだよ。それによって値段が決まるからね。

今は養殖のフグも増えたけど、天然のものは東シナ海まで行くんだよ。しかも、20日から1ヶ月かけないと、フグは獲れない。漁師は1ヶ月近くも家を空け、命懸けで魚を獲ってくる。万が一、漁船が遭難すれば一家全滅になることもある。でも、それなりに獲れた時にはフグ御殿が建ってしまうぐらいの値段にもなる。さっきも言ったけど、周囲は命懸けで仕事をしている人たちばかりだった。そうやって1年ほど勉強させてもらい、東京に戻ることにしたんだ。

そして、ご実家でフグ専門店を始められたんですね

僕が戻った当時はまだ寿司屋だったんだ。でも、親戚の資金援助で経営が成り立っている店だったから、以前のように共同経営をしていても絶対に上手くいかないと思った。そこで、頭を下げて独立させて貰い、何が何でも自分の手で店を守り立てていこうと決意したのが『大漁』の原点。27歳になっていた。

お店の経営は順調でしたか?

おかげさまで、商売は大繁盛(笑)。もともと地元だったこともあって、「豊が帰って来たぞ」とわざわざ店に知り合いが顔を出してくれたりもして。当時で月1000万円の売上げがあった。目まぐるしい毎日だったね。しかも、テレビ番組でも紹介される機会があって、益々忙しくなっていったんだよね。余談だけど、自分の子供が生まれた年に、1軒ずつ店を増やしていったんだ(笑)。結局、池袋のお店とかは客層が合わずに閉店し、今は向島と信濃町の2店舗だけになっちゃったけどね。

現在従業員の方は何名いらっしゃるのですか?

料理人が8名と、30名のパートさん。料理人は勤続20年のベテランから、まだまだ修行中の若い子までいるよ。

財界の方や著名人の接客には、かなり気を遣われるのではないですか?

お客様が有名かどうか、地位が高いか、ということは関係ないんだよね。来て下さったお客様に喜んで頂くための『目配り・気配り・思いやり』が大切。何か特別なサービスをするというのではなく、さりげない心遣いができるかどうかなんだよね。

ただ、そのためには、日々勉強する姿勢でいることが大事だと思う。僕自身も、この鍛錬のためにかなりのお金と時間をつぎ込んで、やっとここまで辿り着いたから。

たまに高級な店に足を運んで、隅々まで行き届いたサービスを受けてみるのも手だと思うよ。そうすることで、どうすればお客様に喜んで頂けるかというのを勉強できるはずだから。

例えば、飲み物ひとつを出すのでも、どのタイミングで出すか、どんな出し方か、どう振舞えばお客様に心地良く感じて頂けるか。また、料理の盛り付けひとつにしても同じだよ。ほんのちょっとしたことでも、もてなしの心や情緒を感じてもらう。お皿に添える葉っぱでも、外を散歩すればたくさん地面に落ちているでしょう。僕は外を歩くときは、いつも「この葉をどのように添えたら素敵だろうか」ってことにアンテナを張っているんだ。何もしなければ、感性は育たない。やはり、磨く努力が必要だと思うよ。

これはうちの従業員にも言っているんだけど、高級なものは、高級であるがゆえの手触りだったり、触感だったり、味がある。だけど、その高級なものを経験したことがなければ、それが高級か、そうでないかも判別がつかない。

おかげ様で、うちを贔屓にして頂いているお客様は、上質なものを良くご存知な方が多い。だからこそ、こちら側も努力しなければいけないね。
 
前 編へ                                                NEXT PAGE
 
 
このページの先頭へ