株式会社マングローブ
 
語る
第一電材株式会社
代表取締役社長 梅澤拓也氏


  インタビュー  前編 Page 1/2
            後編 Page 1/2
  経営者略歴
  Company Data
 
 

  鬼才異彩バックナンバー













(※)社長室の様子

鬼才異彩

第一電材株式会社
所 在 地:東京都調布市小島町3-66-9
      TEL:042-440-1711
事業内容:産業用電子機器材料(ケーブル類)の専門商社
U R L:http://www.daiichi-denzai.com
社長ブログ:http://blog.livedoor.jp/didc/
 
今回の鬼才異彩は第一電材株式会社 代表取締役社長 梅澤拓也氏のインタビューをお届けいたします。
来年で創業40周年を迎える老舗商社を引き継がれて約2年。前編では会社概要や人材採用や育成に対する梅澤社長の考え方などについて伺いました。


こちらのお部屋に通していただくと、この壁一面に貼られたキーワードの数々がすぐ目に入り、その存在感に少々圧倒されてしまいました。まずは、この付箋に書かれているキーワードについてお伺いしてもよろしいでしょうか?

昨年4月に第一電材の代表に就任しましたが、先代から第一電材を引き継ぐに当たり、今まで弊社が行ってきたことを整理したいと思いました。私が社長になったとはいっても、急に事業転換をするわけではない。しかし、あらためて今後どのような方向に進んでいくべきかを考えるには、今までを振り返ってみてきちんと整理する必要があると思いまして。そこで取り組んだのが、第一電材の理念やビジョン、存在価値をキーワードにして洗い出すこと。そして、次に全体像がわかるようにこの壁一面に貼りだしました。つまり、これまでの第一電材のすべてを棚卸ししたものなんです。

今回のように棚卸しするだけではなく、このように常に目の届く場所に貼るのは効果がありますね。毎日目にすることで再確認することもあれば、忘れかけていたことをふと思い出すきっかけにもなるからです。ただ日々確認するだけじゃ駄目なんですよね(笑)。書き出したものを実現できる方法を考えなくては意味がありませんからね。(※左写真)

そうでしたか。ここに貼り出されたキーワードは、社長ご自身が理念やビジョン、存在価値を常に意識するためのものだったわけですね。 ところで、御社の事業内容についてお聞かせいただけますか?

弊社は電子機器用電線やケーブル、電源コードなどを販売する専門商社です。電線と聞くと、一般的には電話線や家電製品付属ケーブルといった普段の生活で目にするものを想像されると思いますが、うちが扱うのは『機器電線』と呼ばれるもので、半導体製造装置や液晶製造装置、医療機器、精密測定器といった製品に内蔵されるケーブル類になります。

大量消費型の一般家電を生産する拠点が国内からアジア地域へとほぼ移っているなか、一台数億円もするような半導体製造装置や医療器というのは日本国内で生産されています。なぜかといいますと、半導体製造装置や医療器などは製造に手間がかかり、大量生産が難しいからです。そこで、うちのような小規模な商社は、大量生産が難しい特殊製品にターゲットを絞り、多種多様な商品展開を強みとして各種電線ケーブルを国内の製造メーカーへと販売しています。

半導体製造装置や医療器に内臓されているケーブルですか。なぜそういった分野の商品に絞られているのですか?

極論を言いますと、うちのような小規模の専門商社が勝負できるのが半導体やメディカル業界といったニッチ市場であるということなのです。そもそもケーブルというものは様々な製品で使用されています。例えば、家電製品や自動車。これらの製品は大量生産が可能なため、ケーブルも大量に必要とされます。つまり、家電メーカーや自動車メーカー向けにケーブル類を販売すればかなりの売上額になります。ところが、大量消費型の商品は資本力のある大手商社が狙っていますから、私どものような小規模の会社が大手と同じ土俵で戦っても負けてしまいます。勝負に勝つためには、やはり自分が勝てる土俵で戦わないといけませんよね。

中小企業でも勝てる土俵はどこなのかを考えると、それは大手商社がやりたがらないような分野。それが、少量でも多種多様なケーブルが必要とされる半導体やメディカル分野なのです。大手商社から見れば市場は小さくても、日本のエレクトロニクス機器産業の裾野は非常に広く、うちにとっては充分大きな市場と言えます。ただ、私どもが狙うニッチ市場でも競合企業は少なくありませんので、お客様がそれぞれ独自の製品開発を追求していくなかで、きめ細かな対応力を発揮し、仕入先とお客様の両者に付加価値を付けられるかが勝負であり、こだわっているところでもあります。

ニッチ市場で勝負していくというのは、創業当時からの方針だったのでしょうか?

いいえ、それはやはり時代の流れとともに、私どもが扱う商品を絞らざるを得なくなったともいえます。これは弊社のみならず電線業界全体にいえることですが、創業当時はどんな種類を取り扱おうが売れれば大喜びといった状況でした。ところが、時代が進み、人々の生活やワークスタイルも進化する。そうすると、今まで必需品だったものが不要になることもありますよね。例えば、電卓やトランシーバー。パソコンや携帯電話の普及によって需要が大幅に減る。そうすると、電卓やトランシーバーを販売していた業界や企業が斜陽になる。さらには、その業界に電線を卸していた専門商社や電線メーカーまでもが倒産することになる。

加えて、私どもが扱う商品を絞り込んだのには、産業の空洞化という問題もあります。生産コストを下げるためメーカーの製造拠点が中国や東南アジアへ行ってしまいますと、日本国内では少量生産で手間のかかる製品しか作られなくなります。資本力のない小さい会社は海外に進出することは難しい。時代の流れにより国内で生産される製品が変わってしまったなか、どのようにして会社が生き延びていけるか。生き残る手段のひとつとして、少量多品種で、中小企業ならではのきめ細かいサービスで勝負する道を選んだということです。

しかし、逆にいうなら、昨今独立資本で生き残っている中小企業は、ある分野でセールスポイントを持っていたことの証明でもあると思っています。これからの激動の時代は、中小企業の持つ『強い個性』がキーワードになってくるのではないでしょうか。
 
 
 
このページの先頭へ