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株式会社谷沢新生物産
代表取締役
村上健一氏
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後編 Page
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経営者略歴
Company Data
鬼才異彩バックナンバー
経営者に学ぶ
(1)『顔が見えないからこそ、話し方や
声の質、トーンを意識して話す』
(2)『お客様をしっかり理解した上で
様々な食材を勧める』
(3)『“本物”にこだわる』
(4)『食材の味や活かし方を知っている
からこそ、お客様にお勧めできる』
(5)『生産者の自立と消費者の自立に
繋がるビジネスを確立する』
(6)『生産者の思いを知ってはじめて、
農業に対する思いが深まっていく』
(7)『社員が互いに化学反応を起こす
ことで、会社を成長させていきたい』
株式会社谷沢新生物産
所 在 地: 東京都文京区本駒込5-72-14
事業内容:無農薬有機野菜・果物、無添加自然食品の宅配
U R L:
http://www.tanizawa-takuhai.co.jp/
今回の鬼才異彩は、株式会社谷沢新生物産 代表取締役社長 村上健一氏のインタビューをお届けいたします。同社は、無農薬・有機栽培野菜・果物、無添加自然食品などの宅配サービスを首都圏を中心に展開しています。社長、社員の方々の「生産者のこだわりを大切にしたい」、「消費者へ本物を届けたい」という想いは強く、独自の配送システムで展開して約30年が経とうとしています。前編では、社内独自の取り組みと生産者の方への想いについてお話いただきました。
御社の営業担当者から自宅にお電話をいただいた時からのお付き合いになりますが、担当の方の声や話す速度、商品の勧め方など、コミュニケーション能力の高さには毎回感心させられています。
ありがとうございます。そんなに褒めていただくほどではないと思いますが、とても嬉しいです。私たちは"お客様との1対1コミュニケーション"をとても大切にしていまして、“効率化”とは対極にありますが、電話一本でお客様と良好な関係を築きあげていることを誇りに思っています。直接顔が見えないからこそ、話し方や声の質、トーンを意識するようにしています。
村上社長もボイストレーニングを受けていらっしゃると伺っていますが。
そうなんです、でもその成果を全く感じない声ですよね(笑)。忙しい時期でも、最低週に1回は社内でボイストレーニングを行っています。トレーニングの対象は、営業担当だけではなく事務担当も参加しています。
このトレーニングを社内に導入したのは、恐らく7、8年くらい前のことでしょうか。 創業メンバーに新たに若手社員が加わった時のこと、若手社員がお客様とのコミュニケーションに苦労していたことがきっかけでした。電話営業の基本を学ばせようと外部のセールス研修を受講させたのですが、重要なのはトークの内容だけではなく、話し方や声の質、トーン、スピードもあるんじゃないかと思いまして。緊張すると声が上擦ってしまうことはよくありますが、話を聞く側にしてみたら聞きとりにくいですし、じっくり話を聞こうという気にはなりませんよね。話の内容よりも、落ち着いた声で、誠実に話をすることをまずは意識すべきだろうということで、声そのものもトレーニングしようと外部の専門会社を探しました。ところが、舞台役者や歌手を目指すわけではないので適当なところが見つからず、そこに社員の一人が「自分がプログラムを作ってみたい」と手を挙げてくれたのがスタートです。彼女が関連書籍を読んだり、講習会などに参加して独自のプログラムを開発し、現在はそのプログラムに則って舌の動きや発声法のトレーニングに励んでいます。
そうだったんですね。落ち着いていて、話を聞いてみたいと感じさせる声は日々の努力の結果ということでしたか。ところで、全国各地におられるお客様に対してはどのような体制で対応されていらっしゃるのでしょうか?
お客様一人に対し一人の営業担当といったかたちの担当制をとっています。押し売りではなく、お客様のことをしっかり理解した上で様々な食材をお勧めしたい。だから毎回決まった担当者から御用聞きのお電話を差し上げています。その際はお客様のご要望もお聞きしますが、「今回はこんなものを入荷しています、宜しければいかがですか?」とお客様の好みを配慮した上で、他のものもご案内するようにしています。
お客様との一対一のコミュニケーションがあるからこそ、相手の好みが把握できるようになるわけですよね。
そうですね。コミュニケーションこそが、この仕事のやりがいに繋がると思います。お客様に喜ばれそうな食材があればご紹介するだけのこと。無理強いする必要は全くないのです。もちろん断られる時もありますが、「試しに今回頼んでみるわ」と言われることも多いんですよ。勧められて購入したお客様から後日、「この間のすごく美味しかったわ」というお声をいただく。この一言が担当者の励みになっていることは間違いないと思います。
一方で、お客様にお勧めするということは、少しでも生産量の上下を吸収しようという目的もあるのです、ここだけの話ですが(笑)。というのも、生産物の収穫量は天候に大きく左右され、予想以上に大量に収穫された場合、注文がなければ破棄することになってしまいます。生産者が手塩にかけて育ててきた野菜を簡単に無駄にするようなことはしたくありません。お勧めすることで生産者への売り上げにも貢献できますし、お客様にも美味しいものを食べていただけますから、一石二鳥ですよね。
ところで、生産者である農家の方々とはどのようにしてコミュニケーションをとられているのですか?
頻繁に産地を訪問することを心がけています。これは社長である私の最大の仕事だと考えていますし、産地訪問を私自身が何よりも楽しみにしているのです。契約している農家の方々は、非常に勉強熱心で、生産者ネットワークを立ち上げて自主勉強会を積極的に開催しているほど、農業に対する意識がとても高いのです。
というのも、農業は1年周期が前提です。30歳から農業を始めたとして、一生を考えたとしても30〜40回しか同じことができません。しかし、気温や気候が毎年異なりますし、ここ数年は異常気象だと言われ予測不可能な事態が起きる可能性もありますから、同じことが一生に一度しか出来ないかもしれない。だからこそ、一年一年が貴重であり、真に美味しいものを作り出すにはどうしたらよいのかと熱心に勉強される方が多いのです。勉強会を通じて他の生産者の成功事例を学び、自分の畑で試そうとするわけですが、それぞれの土壌や環境も異なりますから、すべてに万能な農法というものが存在しない。そこが農業の難しさであり、挑戦意欲が高まる点でもあるのです。
少し専門的な話になりますが、化学肥料を使用しない有機栽培には「認証」とよばれるシステムがあります。この「認証」を取得するためには、使用可能な農薬と不可能な農薬の基準を守る必要があります。その基準に沿って栽培された野菜は「有機栽培野菜」、つまりブランド野菜として世に流通させることができるのです。この「認証」を必ず取得しなければいけないわけではありませんが、一種のステータスにもなります。
「認証」は、国が定める基準として重要なものだとは思いますが、認証取得を追い求めてばかりいると、"本当に美味しいもの"、"本物を作る"という観点からはズレてきてしまうのではないかと私は考えます。「農薬を一切使用しないで作りました」や「『認証』の基準からは外れる肥料だけど、あるタイミングに使用すると野菜が美味しくなることが分かりました」という話をする生産者がいると、認証云々よりも、そちらの方に"本物"を感じてしまいます。認証は取得したけど、それほど美味しくないものだってあります。大切なのは、「安全」・「栄養価が高い」・「味が良い」こと。だけど本物を作るというのは本当に大変で、野菜や自然と対話し続けることが良いものを生み出すのです。
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