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今回の鬼才異彩は、株式会社サイリス 代表取締役 長尾宏氏のインタビューをお届けいたします。同社は、チェーン店舗のトータルメンテナンス事業を軸とし、店舗の維持管理に必要な幅広い業務を一元管理することで、店舗のコストダウンやマネジメント効率の向上に貢献しています。前編では、創業当時のお話や転機となったエピソードについて語っていただきました。
来年で創業15周年を迎えられますね。長尾社長はこの業界に長くおられて、その経験を活かして株式会社サイリスの設立に至ったのでしょうか?
いいえ、もとは銀行員でした。大学を卒業後すぐに都市銀行に入社、その後17年間は銀行一筋でした。バブル景気を仕掛けるような業務にも関わるなかで、仕事とはいえある意味お客様を騙すようことに対し徐々に抵抗を感じるようになり、最終的には耐えきれずに退職願を提出してしまいました。つまり、先々のことも考えずに、勢いだけで退職してしまったわけです(笑)。
「さあ、これからどうしようか・・・」と考えているところに、銀行時代の先輩から「もし良かったら、次が決まるまで父が経営している会社で働かないか?」と声をかけていただきました。そこがたまたま清掃業を営む会社だったということで、この業界に足を踏み入れるきっかけとなりました。
銀行マンから清掃マンに転身ですか。勇気ある決心だったと思いますが、前職での経験を活かそう、とはお考えにならなかったんですね。
もう一度サラリーマンになろうという気持ちは全くありませんでした。結局は組織社会の一員に過ぎず、常に会社や上司の命令に従わなければなりませんから。それは17年もの間嫌というほど経験してきましたから、これ以上はもうウンザリでした。とは言っても、何か商売をしたいというわけでもなかったので、お世話になることにしました。
まずは茅場町にある事務所に顔を出し、作業服を着て清掃現場に向かい、隅々まで掃除機をかけたり、床を拭いたりする毎日。何せ経験のないことばかりで怒られることも多かったですし。そのおかげで、物事を別な視点から見ることの大切さも学びました。
というのも、清掃作業員は仕事柄床から上を見ることがほとんど。例えば、屈んで床を拭いたり、ゴミを回収したりしながら、場所を移動していきます。そうすると、人々の会話や小さな動き、変化を自然と察知する能力が身に付くようなんですよ。大袈裟な言い方をすれば、社会の動向を底辺から探るといいますか。社員の方の雰囲気やオフィス内の状況を見るだけで、その組織の業績も一発で分かるようになったほどです。
清掃員のご経験から会社設立を決意されたわけですか?
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そうですね。お世話になっていた会社が証券会社の清掃業務を請け負っていたことがありまして、ある時その証券会社の金庫から現金が消えるという事件がありました。すぐに外部の清掃会社が怪しいということになりまして、弁償する、しないの話になったんです。作業員が現金を盗んだという証拠がないのにですよ。結局、真偽はあやふやなままその場を収めるために弁償したというのです。私はその話を聞いて愕然としました。清掃業界というのは、世間からそういうふうに見られているんだと。
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調べてみると、清掃事業者は全国に5万社もあるんです。でもその殆どが社長自ら現場に出ているような下請け、孫請けの中小零細企業。商売を続けていくには、そうせざるを得ない環境があったのだと思います。ただ、一方で、キチンと組織化した会社が作れれば、自分でもソコソコやっていけるという自信ができて、会社を立ち上げる決意をしました。
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