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『強い組織、善い組織とは?』
今回は、NPO法人ゴールドリボン・ネットワーク理事長の松井秀文氏にご講演いただきました。
松井氏は、がん保険などで有名なアフラック社の元社長・会長で、現在は、ゴールドリボン・ネットワークにて小児がん撲滅のための活動を行っています。講演会では、「アフラックの経営で大切にした考え」や、「リーダーに求められるもの」などについてお話頂き、ゴールドリボン・ネットワークの取組みについても語っていただきました。
| 開催日 | 7月26日(月) | 講演者 | NPO法人ゴールドリボン・ネットワーク 理事長 松井秀文氏 氏 経営者略歴 |
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イベントレポート
【アフラックの経営で大切にした考え】
まず最初に、アフラックという会社の歴史や日本進出の背景についてご説明頂きました。
日本では後発であるアフラックは日本進出の際、まだ日本にはない保険を武器にシェアを広げ、日本の保険会社において、個人保険保有契約件数No.1を達成するまでになりました。
そこには、松井理事長が社長・会長時代に大切にしていた考え・目指す考えが大きく貢献していました。
松井理事長は、"アフラックの経営で大切にした考え・目指したこと"を次の5つに分けて、わかりやすくお話くださいました。

1.方向と意思決定
2.「強み」により高きを目指す
3.人を活かす
4.お客様の心を知る
5.相利共生~人に役立つことで喜びを~
【1. 方向と意思決定】
~コア・バリューを明確にし、価値観を共有すること~
創業時に考えたことは、日本にないもの・日本の会社に出来ないことをするということ。
日本社会における存在意義として、「日本にない新たな価値を提供して日本国民に役立つこと」、それを、しっかりと社員に伝え、共有していくことを実践してきました。
~不易流行~
「不易」とは、常に変わらないもの、それが経営理念(経営の軸となるもの)。資金力や販売力ではなく、根本は経営理念です。自分たちは、その経営理念をどのように体現していくかということが大切なのです。「流行」とは、変化するもの、強かろうと頭が良かろうとそれで生き残っていけるわけではなく、お客様や社会の変化にどれだけ柔軟に対応できるかということが、生き残るために必要なことなのです。
【2.「強み」により高きを目指す】
社長就任時、何を目指そうか、社員にどう自信をつけさせようかということを考えました。
まず、会社として目指すものは、5年間で個人保険保有契約件数No.1にすること、収入保険料1兆円にすることをビジョンに掲げました。収入の額を提示はしましたが、真意はお客様から最も選ばれる会社としてNo.1を目指すことにおきたいと思いました。
さらに、社員個人が目指すものとしては、とにかく、自分がNo.1と言えるものを創れと伝え、机の上にこのスローガンを置かせました。
実際は、4年でビジョンを達成し、それが、社員の自信にも繋がったのです。
【3.人を活かす】
~共に知り、共に語り、共に働き、共に感じることのできる風土へ~
経営において最も大切なのが現場だということ。現場で働く人を活かすため、いかに誇りがもて、喜びのある職場にするかということが大切なのです。人の幸せとは、愛される・ほめられる・役に立つ・必要とされる、であり、この4つの場面をいかに多く創ってあげるかが重要です。
さらに、社員に対してありとあらゆる情報を日常的に共有していく。そのために、伝えていく努力を惜しまないことが必要です。私は社長時代、2ヶ月に1度のペースで管理職以上の社員を集め、自ら経営についてどう考えているかを伝えてきました。特に大事なのは、会社に危機的状況が起きたとき、当初から情報を伝えているのか、公になってから突然伝えるのかでは、まったく組織のまとまり方が違うということ。社員は、流れの中で理解をしていくものなのです。
このように、語りかける・語り続けることの大切さは、現場で身をもって体験してきました。
私の理想は、
ローマの人たちは、ローマが偉大だからローマを愛したのではない。
ローマ人が愛したからローマが偉大になったのだ。
(チェスタント 「正統」)
という言葉に凝縮されています。
アフラック本社の社員に対する考え方は、
< If we take care of people, the people will take care of the business. >
「会社が社員を大切にすれば、社員は仕事を大切にしてくれる」
というもので、まさに上記と同じ考え方なのです。
【4.お客様の心を知る】
~私が参考にしている考え方~
「商人は人間としての心が大切であり、商いとは人との出会い、心のふれあいそのものである」
(近江商人)
「商人はまず顧客の道理を悟り(=心を把み) しかる後、我の立ちいくことを考えよ」
(石田梅岩)
私は、上記のような商人の考え方に共感しており、お客様との心のふれあいをどのように作っていくか、お互い心をどう使うかがポイントになると思っています。
現場力が強くなければ、組織は強くなれない。お客様の心を知るためには、現場を視て、現場から聞くということを実践することが必要です。人の心を知るためには、人といかに触れ合うかということと、情熱と態度が大切なのです。
【5.相利共生~人に役立つことで喜びを~】
相利共生とは仏教用語です。近江商人が、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」ということを言っていたそうです。相利共生とは、まさにこのことだと思っています。
売り手よし・買い手よしは、誰しもが考えるでしょう。しかし、世間よしも含め三方よしを実現することで、ベースを持っていない場所・環境で初めて受け入れられるのです。
三方よしを会社に例えるなら、社員によし、お客様によし、世間によし、株主によし、社会によし、になります。それがすべてお互いに利がある状態にすることが大切です。
「共生」とは「寄生」の反対語です。寄りかかって生きるのではなく、お互いに努力し、そのバランスの中でお互い利を得ようという考え方なのです。
【今、経営者(リーダー)に求められるもの】
続いて、今、経営者、リーダーに求められるものとして、5つのことを提言してくださいました。
【1. 高い志と強い意思】
強い組織の大きなポイントは、いかに経営者が強いリーダーシップを持っているかということ。そして、現場(中堅層)がどれだけ強いかということです。問題のある組織というのは、一つ目に、トップにビジョンがない、二つ目に、言っていることと行動が伴っていない、そして三つ目に、判断力の弱さがあります。組織は、なんとなくは動いているけども、どこに向かっているのかはわからない状態になってしまうのです。
【2. ブレない判断力】
経営者にとって、情報量、判断力、行動力も大事ですが、「胆力」腹を決める力がなければ最終的に踏み出せないままになってしまいます。「胆力」というのは、どれだけ修羅場を経験するかということがポイントであり、組織の中で敢えて厳しい状況のところを担当させるというのもありでしょう。
それから、上に行けば行くほど、自分の位置が見えなくなり、裸の王様状態になってしまう人が多いです。そういうタイプの人は、自分に心地よいことを言ってくれる人を重用したがる傾向があります。そうすると益々見えなくなる一方なのです。
【3.価値観共有への努力】
経営者も社員も会社全体で、同じ方向を向いていることが必須です。そのためには、トップが常に何を考えているのか、現在の状況など社員に伝える必要があります。それは、一時的ではなく、継続的に多くのことを語り続けなければ意味がありません。
【4. 戦略を作る】
戦術よりも戦略であること。根本は、経営哲学を進化させていくことであり、戦術に長けているだけではダメです。
【5. 人への関心と想い】
コミュニケーションの基本は、聞くことです。聞くことから始めなければ、人のことは分かりません。そして、実際、働いている人の心は、結果やデータでは読めないのです。だからこそ、経営者は社員と触れ合い、心を読む必要があるのです。それは、形式的に行うのではなく、数多く行うことによって見えてくるものがあるということ。そこから、社員は、自分のこと視てくれている・知ってくれていると思うだけでも、安心感持ったり、活力になったりするのです。これらのことは、上の立場になればなるほど、大切にし、実践していかなくてはならないことなのです。
【ゴールドリボン・ネットワークの取り組み】
そして最後に、現在理事長を務めておられる、NPO法人ゴールドリボン・ネットワークの活動についてご紹介いただきました。
【ゴールドリボン・ネットワークとは】
ゴールドリボン・ネットワークは、小児がんへの正しい理解の促進と、小児がん患者の子どもたちへの支援、小児がんに対して、「治療研究開発支援」「QOL向上支援」「理解促進」の3つの柱で活動を続けています。
小児がんとは、15歳以下の子供におこる悪性腫瘍です。年間約2,000~2,500人が発生しています。現在でも、16,000人(小児慢性特定疾患対象者)の子供たちが病気と闘っています。
「小児がんの子供を救うことは、その子の可能性を救うこと」です。
しかし、小児がんは、稀な発生、多様な疾患(小児がん:47種)で情報量が非常に少ない状態です。さらに、予算やマンパワー不足で、専門医でなければ発見できないケースもあり、手遅れになることもあります。そして、適用外・未承認薬が多く、医療提供体制や支援体制も未整備なのです。
小児がんの場合は大人と違い、今後50年間普通に生きられるようにするにはどうしたらいいかということを合併症や再発のリスクがある中で考えなければなりません。これは、今取り組んでいる大きな問題の一つなのです。
小児がんの子供たちに、再び笑顔を取り戻してもらうため、様々な活動をしております。
その中でも、"ゴールドリボン自販機"というものがあり、飲料メーカーなどにご協力頂きながら売上の一部を寄付していただいています。
また、病院内に"ゴールドリボン学習室"という教室の設置や"小児がん治療の研究助成"、"小児がんに対する冊子の作成"、"小児がん経験者のQOL向上の研究助成"など行っています。
さらに会員制度をとっており、個人会員様や法人会員様より会費や寄付を頂いております。会員になっていただいた証にゴールドリボンメンバーバッチを差し上げています。
このように私たちは、皆様にご協力・ご支援頂きながら、小児がん克服のため活動を行っています。
懇親会についても大盛況で、松井氏との名刺交換には長蛇の列ができており、その列は、最後の最後まで途絶えることはありませんでした。
また、その場でゴールドリボン・ネットワークの会員になってくださる方もおり、非常に素晴らしい会となりました。
セミナー参加者の声(一部掲載)
●松井理事長のお話。高い志と継続する意志。頭でわかっても、実践が難しいのが経営ですね。 素晴らしいお話でした。ありがとうございました。
●ほとんど無名だった会社を、ご自身でここまで大きくされたご経験に裏打ちされたお話しは、
非常に含蓄があり、ぜひ今後に活かしたいと思っております。
また、懇親会でも何名かの方と名刺交換させていただき、今後につながるお話しができたかと思っております。
今後とも、このような機会がありましたら是非お声掛けくださるよう、宜しくお願い致します。
●松井さんのお話は、久しぶりに経営者の話だー!と思い、わくわくしてうかがいました。
●松井さんと懇親会でお話できましたが、「(会社のオーナーになって)自分のために何とかしようと思うと、正直苦しくなります」とお話しましたら、「社員やお客さまなど人のために頑張ることです」と仰いました。相利共生ということなんですよね。スーッとすると同時に、楽になりました。
●良い機会をいただきありがとうございました。松井理事長は穏やかな話しぶりで、論理的でかつ内面に熱い想いもおもちで、大変勉強になりました。
●松井様のアフラック時代のご経験話、ひとへの哲学、勉強になりました。ゴールドリボン・ネットワークのご活動も、すばらしいです。微力ながら、法人会員の申し込みをさせていただこうと思います。
●松井様のお話は、日本と米国の関係の中で、どのように経営の舵を切ってきたかがリアリティ高く理解することが出来ました。
名刺交換の際も、弊社のグローバル展開についていくつかアドバイスも頂きました。
どんな質問にも丁寧にお答え頂く姿は、本当に素晴らしいと思いました。
●松井様の軸のぶれない生き方から、たくさんの学ぶを得ることができました。自分のできることは小さいですが、ゴールドリボン・ネットワークの個人会員として賛同していこうと思います。
●素晴らしい講演でした。たくさんメモをさせて頂き、勉強になりました。
経営者略歴
NPO法人ゴールドリボン・ネットワーク 理事長
松井秀文氏氏
1944年 生まれ
1968年 東京大学経済学部 卒業
1968年 川崎製鉄株式会社 入社
1974年 アメリカンファミリー生命保険会社 入社
1995年 社長就任(日本における代表者)
2005年 会長 就任
2007年 相談役 就任
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