今回の『繋ぐ』は、「語る」の第1回にご登場いただいた日本プランニングスタッフ株式会社の小林隆社長と、第85回にご登場いただいた株式会社メイプルリビングサービスの加藤照美社長の対談をお届けします。
日本プランニングスタッフ株式会社 小林隆社長×株式会社メイプルリビングサービス 加藤照美社長
【社員を大切にする経営】
加藤社長 今野社長からお声がけいただきましたが、聞けば恐れ多くも小林社長が私に会いたいとおっしゃってくださったんだそうですね。ありがとうございます。実に光栄に思いました。
小林社長
そうなんですよ。インタビュー記事を興味深く拝見して、加藤社長の人間味あふれる、人としての優しさにあふれるお人柄を想像しました。特に「愛する人たちを幸せにするために働く」という企業理念には魅力を感じまして、社員への愛情のあふれる経営者だなあと感心いたしました。それで、一度お会いしてみたいと思ったわけなんです。
加藤社長 いやあ、そうおっしゃっていただくと、うれしくもあり、恥ずかしい感じもするんですが。理念というものは「追い求めるもの」ですから、実態がそうなっているかというと自信のないところもありまして・・・。ただ、ポリシーとして、何よりも愛する社員のために会社をよくしようという姿勢は持っているつもりです。
小林社長 素晴らしいですね。社員を愛せるかどうかは、経営者として非常に大切なことだと思います。
加藤社長 優しさの度が過ぎて少し甘いところがあるのでは、そんな反省点があります。経営者の自分が甘いと、組織全体に責任への甘さが出てきて、風土によくない影響を与えるのではないかと反省しているんです。
小林社長 加藤社長が甘いんですか? 信じられませんね。押さえているところは押さえているように感じますよ。
加藤社長 これは半分冗談ですから、そのつもりで聞いてほしいのですが(笑)・・・。私は、ずっと野球少年だったものですから、今少年野球チームのコーチを務めてるんです。
毎年、新しい選手が入ってくるたびに、何しろ集まってくれる選手がかわいくてしょうがない。「一人ひとりなめてしまいたいほど、かわいい」などと口走ったら、選手のお母様方に思い切り不評を買ってしまったことがあります。
小林社長 思うのはかまわないでしょうが、口に出したのはまずかったかもしれませんね(笑)。しかし、お気持ちはすごくよくわかりますよ。実は私も小学生チームのコーチをやっていたことがあるんです。1週間に1度程度の練習だったんですが、前の週よりも確実に上手になっているのがわかるんですよね。頑張って成長していっている姿は本当にかわいいと思うし、もっともっと頑張ってほしいと応援する気持ちが湧いてきますね。リーダーにとっては、メンバーの成長する姿をかわいいと思えることは、大切なことです。
加藤社長 そのとおりだと思います。一方では、会社の歴史を遡れば相当厳しい時期もあったわけなんです。そんな時期を思い出すと、なんとか社員に苦労をさせないですむ安定した会社にしたいという気持ちで頑張ってきたところもあります。「社員への責任」ということなんでしょうね。
当社は、マンションやオフィスビルの設備の管理からメンテナンス、さらには内装や修繕工事などのサービスを提供している会社です。今から7〜8年前に、ワンルームマンションを月に70現場くらい担当していた時期がありました。これは体制が整っていない当時の当社にとっては、限界を超える規模だったわけなんです。一番大変なのは、職人さんのスケジュール調整と管理です。例えば、クロスを貼る職人さんと、一番最後の工程である部屋のクリーニング業者さんが鉢合ってしまったら、狭いワンルームマンションでは両立できないわけです。少しの狂いが生じると立ち行かないという正に極限の状態でした。
そんな時に、社員が一人、現場で肋骨を折るという怪我をしてしまいまして。普通であればさっさと入院するか、手当てをして休んでいないといけないわけですが、状況を理解している彼はそんな状態でも休まずに頑張ってくれたのです。
涙が出る思いでした。私も缶コーヒーを手土産に現場に通いました。その現場がなぜか匂うことに気がつきました。その匂いの原因はなんと、社員の体臭だったんです。入浴する時間もないほど働いているということなんですね。風呂よりも1分でも寝ていたいというくらいの状況でした。そんな中で社員だの社長だの言っていられません。私自身もひとつのミスもない手配をし、現場管理をしていかないと破綻するという緊張感で一緒になって仕事をしていました。そんな風に徹底的にやった結果、私の体にも異変が現れてきたんです。過労で右手があがらなくなってしまった。しかし、社員や職人さんが限界を超えて頑張っていることはわかっていますから。自分だけ弱音を吐いているわけにはいかない。自分も手が上がらないくらいのことで休んでいるわけにはいかない。そう思って、反対側の手で懸命に仕事をしていたものでした。
小林社長 いやはや、ものすごいご経験ですね。あまりの迫力にお話しに割って入ることができませんでした。
加藤社長 そういう苦労を二度と社員にさせてはいけない。会社を成長させて、安定した状態で、みんなで楽しくやっていきたい。協力してくださる会社の方々も巻き込んで、幸せを感じながら仕事をしたいと強く思うようになりました。まだまだ理想の状態には遠いと思っていますが、一歩一歩進んでいきたいと思っています。
1/4